「しっぽを振っているから嬉しいんだよね?」——そう思ったら実は緊張のサインだった、なんて経験はありませんか?犬は言葉を持たない代わりに、しっぽ・耳・目・姿勢など体全体でサインを出し続けています。このサインを読み解けるようになると、愛犬が今どんな気持ちでいるかが手に取るようにわかり、信頼関係がさらに深まります。この記事では、犬のボディランゲージとカーミングシグナルを部位別・状況別に図鑑形式でまとめました。

ボディランゲージとカーミングシグナルの違い
まず「ボディランゲージ」と「カーミングシグナル」は似ていますが、少し意味合いが異なります。
| 種類 | 目的 | 主な例 |
|---|---|---|
| ボディランゲージ | 様々な感情(喜び・恐怖・興奮など)を体全体で表現 | しっぽの位置・耳の向き・目の表情・姿勢 |
| カーミングシグナル | 自分または相手を落ち着かせる・争いを避けるために使う | あくび・鼻を舐める・視線をそらす・体をブルブル振る |
カーミングシグナルは、ノルウェーのドッグトレーナー・テューリッド・ルーガス氏が提唱した概念で、犬が生まれながらに持つ「犬の共通言語」とも言われます。カーミングシグナルは不安や緊張を感じたときに「落ち着こう」「敵意はないよ」と伝えるために使われます。
ポイントは、どちらのシグナルも単独ではなく、複数のサインを組み合わせて読むことです。しっぽだけ、耳だけを見ても、正確な感情はわかりません。全身を観察して、状況とセットで判断することが大切です。

しっぽで読む犬の気持ち
しっぽは犬の感情を表す最もわかりやすいパーツのひとつ。ただし「振れば嬉しい」とは限りません。しっぽの高さ・速さ・方向を組み合わせて読むことが大切です。
| しっぽの状態 | 気持ちの傾向 | 補足 |
|---|---|---|
| 高い位置で大きく振る | 喜び・興奮・嬉しい | 飼い主が帰宅したときなど |
| 水平〜少し上げて振る | 友好的・遊びたい | 犬同士の挨拶など |
| 水平より低い位置でゆっくり振る | 緊張・不安・様子見 | 初対面の人に会うときなど |
| ピンと高く立ててほとんど動かない | 警戒・優位性を示す・緊張感 | 耳も立っていれば攻撃的な可能性も |
| 脚の間に入れる・下げる | 恐怖・服従・怯え | 叱られたときなど |
| 自然にたらーんと垂れている | リラックス・落ち着いている | 安心できる環境にいるとき |
耳で読む犬の気持ち
耳は感情の変化を素早く反映するパーツです。ただし、垂れ耳の犬種(ダックスフンド・ビーグルなど)は耳の動きが小さいため読み取りにくいことがあります。
| 耳の状態 | 気持ちの傾向 |
|---|---|
| 前向きにピンと立っている | 注意・興味・好奇心(場合によっては警戒・攻撃的) |
| 後ろに平らになっている | 恐怖・不安・服従 |
| 自然な位置・少し横向き | リラックス・落ち着き |
| 音の方向を追って動く | 興味・集中・何かに気づいた |
目・表情で読む犬の気持ち

目は「感情の窓」。犬の目の状態と視線の向きは、気持ちを読む上でとても重要なヒントになります。
| 目・表情の状態 | 気持ちの傾向 |
|---|---|
| 目を細めてまったり | リラックス・安心・信頼 |
| じっと見つめる(アイコンタクト) | 集中・信頼(ただし初対面の相手へは対立のサインになることも) |
| 視線をそらす・横を向く | カーミングシグナル「争う気はない」「不快を伝える」 |
| 白目(眼球の白い部分)が見える | 緊張・恐怖・不安(ホエール・アイとも呼ばれる) |
| 目を見開いて固まっている | 驚き・緊張・警戒 |
| 口角を引いて歯をむき出す | 威嚇・恐怖性の攻撃 ※近づかない |
姿勢・ポーズで読む犬の気持ち
| ポーズ・姿勢 | 名称 | 気持ちの意味 |
|---|---|---|
| 前足を伸ばしてお尻を高く上げるおじぎ | プレイバウ | 遊びに誘う・「一緒に遊ぼう!」友好のサイン |
| 仰向けになってお腹を見せる | ロールオーバー | 服従・甘え(「撫でて!」)、「もうやめて」の場合も |
| 体を低くして耳と尻尾を下げる | 服従姿勢 | 服従・恐怖・謝罪のサイン |
| 四肢を伸ばして横たわる | 完全リラックス | 最大限のリラックス・安心している |
| 顔を横に傾ける | ヘッドチルト | 興味・集中・音や言葉に注意を向けている |
| 前傾みで体が前のめり・尻尾を上げる | 攻撃準備姿勢 | 警戒・対立の意思 ※距離を置く |
カーミングシグナル図鑑
カーミングシグナルは「相手を落ち着かせる・自分を落ち着かせる」ために使う行動です。愛犬がストレスを感じているサインでもあるため、見つけたら環境を改善するヒントにしましょう。

| シグナル | 意味・状況 |
|---|---|
| あくび | 緊張や不安を感じているとき、または相手を落ち着かせようとするとき。眠いわけではないことが多い |
| 鼻を舐める(舌ペロ) | ほんの一瞬のことが多い。ストレス・不快・緊張のサイン。カメラを向けたときや知らない人が近づいたときに出やすい |
| 視線をそらす・体を背ける | 「争う気はない」「少し距離を置きたい」のサイン。アイコンタクトを求めたときに目をそらすのも同じ意味 |
| 体をブルブルと振る | 水を払うような動き。緊張やストレスを感じた後に気持ちをリセットするために行う |
| ゆっくり動く | 急な動きは相手を警戒させるため、あえてゆっくり動くことで「敵意はない」と伝える |
| くしゃみ | ストレスを感じた後、気持ちをリセットしたいときにも出る。鼻への異物でないケースも多い |
| においを嗅ぐ | 地面のにおいを嗅ぐ動作で「今はそっちに集中する気はない」と伝えることがある |
| プレイバウで静止 | 遊びに誘うポーズ(プレイバウ)のまま動かない場合はカーミングシグナルとして使っている可能性がある |
ボディランゲージを正確に読む3つのコツ
1. 全身を見る
しっぽだけ、耳だけを見ても感情は正確に読めません。耳・しっぽ・目・口・全体の姿勢を同時に観察してください。たとえば「口角を上げている」だけでは笑いとも威嚇とも読める。しっぽが高く振られていれば嬉しい、体が固まっていれば威嚇、という判断になります。
2. 前後の状況を把握する
同じあくびでも「帰宅したら大喜びした後のあくび」と「知らない人が急に近づいてきたときのあくび」では意味が違います。シグナルの前に何があったか・どんな環境かを一緒に考えましょう。
3. 複数のシグナルを組み合わせる
1つのシグナルより、複数が同時に出ている場合の方が感情がはっきり読めます。「しっぽを下げて」「耳を後ろに倒して」「視線をそらして」いれば、ほぼ確実に恐怖・不安のサインと判断できます。
犬の気持ちをもっと深く知るための参考書籍
犬のボディランゲージ・気持ち解説書籍
カーミングシグナルや犬の行動を図や写真で解説した専門書・入門書は、愛犬との暮らしをより豊かにしてくれます。ボディランゲージを体系的に学ぶなら、図や写真が豊富な本を選ぶのがおすすめです。
こんな方におすすめ:愛犬の気持ちをもっと深く知りたい方 / しつけに行き詰まりを感じている方 / 犬の行動学に興味がある方
参考価格:1,500〜2,500円程度
カーミングシグナル 関連書籍(テューリッド・ルーガス)
カーミングシグナルの概念を提唱したテューリッド・ルーガス氏の著作は、犬のボディランゲージを学ぶ上でのバイブル的存在。犬との接し方が根本的に変わると言われる名著です。
こんな方におすすめ:犬の行動をより科学的・体系的に理解したい方 / トレーナーや犬のプロを目指す方
参考価格:2,000〜3,000円程度
まとめ
犬のボディランゲージとカーミングシグナルを理解すると、愛犬とのコミュニケーションが大きく変わります。
- しっぽは高さ・速さ・方向が大事。「振る=嬉しい」は必ずしも正解ではない
- 耳は感情の変化を素早く反映する。前向きで立つ→注意・興味、後ろに倒れる→不安
- 目は感情の窓。視線をそらすのは「争う気はない」のカーミングシグナル
- 姿勢のうちプレイバウは「遊ぼう!」お腹を見せるは「安心している」または「やめて」
- カーミングシグナルはストレスのサインでもある。あくび・鼻舐め・体振りが頻繁なら環境を見直して
- 複数のサインを組み合わせて・状況とセットで読むのが正確に読む鍵
今日から愛犬を観察する目線が少し変わるはずです。日常のスキンシップの中でサインを読む練習をしながら、愛犬との絆をさらに深めていってください。
参考文献
- Y&I Dog Academy|犬の気持ちを理解するには?ボディランゲージを知る
- ALpark|愛犬は今どんな気持ち?ボディシグナル・カーミングシグナルを知ろう
- GREEN DOG & CAT|犬のカーミングシグナルとは?言葉より伝わる!犬のシグナル活用術
- Peace Winds|犬のしっぽでわかる感情と異常サイン|正しい読み取り方
免責事項
本記事はペットの行動・コミュニケーションに関する一般的な情報提供を目的としており、特定の行動問題の診断・治療を推奨するものではありません。愛犬の行動に気になる点がある場合は、獣医師や認定トレーナーにご相談ください。
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