愛犬が急に嘔吐を繰り返したり、食欲がなくなったりしたら、それは胃炎のサインかもしれません。犬の胃炎は、軽度の急性胃炎から重度の潰瘍性胃炎まで、さまざまなステージが存在します。本記事では、獣医師監修の情報をもとに、犬の胃炎の種類と症状、各ステージ別の治療方法、そして予防のための食事管理まで詳しく解説します。
🔍 犬の胃炎とは?基礎知識
胃炎とは、胃の粘膜に炎症が起きてしまった状態のことを指します。炎症の程度や持続期間によって、いくつかのタイプに分類されます。
📊 胃炎の分類
🩺 急性胃炎:症状と対応
⚡ 急性胃炎の特徴
急性胃炎は、突然発症し、数日以内に症状があらわれるタイプの胃炎です。多くの場合、原因が明確で、適切な治療により1〜3日で回復します。
🚨 急性胃炎の主な症状
- 急に吐き始める(食後すぐ、または空腹時)
- 食欲不振(食べたがらない、食べても少量)
- よだれを頻繁に垂らす
- 元気消失(ぐったりしている)
- 腹痛(お腹を触られるのを嫌がる)
- お腹がキュルキュル鳴る
- 下痢(時に併発)
🎯 急性胃炎の主な原因
- 食べ過ぎ・飲み過ぎ:一度に大量に食べると胃に負担がかかります
- 誤食:異物や腐敗した食べ物、拾い食い
- 食物アレルギー:特定の食材に対する過敏反応
- 急な食事変更:フードを突然切り替えた
- ストレス:環境変化や心的ストレス
- 細菌・ウイルス感染:食中毒など
- 薬の副作用:NSAIDsなどの消炎鎮痛薬
💊 急性胃炎の治療方法
ステップ1:胃を休める(6〜24時間の絶食)
嘔吐が続いている間は、胃腸を休ませるために一時的に絶食します。水分は少量ずつ与え、脱水を防ぎます。
ステップ2:少量ずつ給餌を再開
嘔吐が落ち着いたら、消化に良い流動食や低脂肪食を少量ずつ与え始めます。
ステップ3:薬物療法
• 制吐剤(マロピタントなど):吐き気を抑える
• 胃粘膜保護剤(スクラルファートなど):胃の粘膜を保護
• 制酸剤(ファモチジンなど):胃酸の分泌を抑える
ステップ4:点滴治療(必要時)
脱水が進んでいる場合は、皮下点滴または静脈点滴で水分・電解質を補給します。
📆 慢性胃炎:症状と長期管理
🔄 慢性胃炎の特徴
慢性胃炎は、2週間以上症状が続く、または繰り返し発症するタイプの胃炎です。じわじわと進行するため見逃されやすく、長期的な治療と管理が必要になります。
📝 慢性胃炎の主な症状
- 食後や空腹時の嘔吐(黄色い液体や白い泡)
- 食欲不振(食べたがるけどすぐに吐く)
- 体重減少(徐々に痩せていく)
- 元気がない、動きたがらない
- 時々お腹をかばうような姿勢をとる
- 毛艶が悪くなる
🎯 慢性胃炎の主な原因
- 長期的なストレス:環境や生活習慣の問題
- 食物アレルギー:特定の食材への慢性的な反応
- 胃の構造的な問題:胃の動きが悪い
- 慢性感染症:ヘリコバクター属の細菌感染
- 免疫系の異常:自己免疫疾患
- 他の疾患の影響:腎臓病、肝臓病など
💊 慢性胃炎の治療と管理
1. 原因疾患の特定と治療
血液検査、超音波検査、内視鏡検査などで原因を特定し、基礎疾患があればその治療を優先します。
2. 長期的な薬物療法
• プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾールなど):胃酸分泌を強力に抑制
• H2受容体拮抗薬(ファモチジンなど):胃酸分泌を抑制
• 胃粘膜保護剤:長期的に粘膜を保護
• プロバイオティクス:腸内環境を整える
3. 食事管理(最重要)
消化器サポートフードや低アレルゲン食への切り替え、1日3〜4回の少量頻回食が効果的です。
💔 潰瘍性胃炎(胃潰瘍):重度のケース
⚠️ 潰瘍性胃炎とは
潰瘍性胃炎は、胃の粘膜が深く損傷し、潰瘍(えぐれた傷)ができた状態です。出血や穿孔(胃に穴が開く)のリスクがあり、命に関わることもある重篤な病気です。
🚨 潰瘍性胃炎の危険な症状
- 吐血(コーヒー色や鮮血の嘔吐物)
- タール便(真っ黒でねっとりした便)
- 貧血(歯茎が白っぽい)
- 激しい腹痛(お腹を触られるのを極度に嫌がる)
- 食欲の完全消失
- ショック状態(ぐったりして動かない)
🎯 潰瘍性胃炎の主な原因
- NSAIDs(消炎鎮痛薬)の副作用:イブプロフェン、インドメタシンなど(人間用は特に危険!)
- ステロイド薬の長期使用:デキサメタゾンなど
- 肥満細胞腫:胃酸を過剰に分泌する腫瘍
- 腎不全:尿毒素が胃粘膜を傷つける
- 肝不全:代謝異常による影響
- 重度のストレス:手術後、敗血症など
💊 潰瘍性胃炎の治療方法
段階1:原因の除去
NSAIDsやステロイド薬など原因となる薬の投与を中止します。基礎疾患がある場合はその治療を行います。
段階2:強力な胃酸抑制
• プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール、パントプラゾール):1日2回投与で胃内pHを上昇
• スクラルファート:潰瘍部位に直接作用して保護膜を形成
段階3:出血への対応
• 輸液・輸血:脱水と貧血の補正
• 止血剤の投与
• 24時間モニタリング
段階4:外科手術(必要時)
穿孔(胃に穴が開いた)や切除可能な腫瘍がある場合は、緊急手術を行います。
🍽️ 胃炎の食事管理と予防法
🥘 消化に良い食事の基本
1. 少量頻回食
1日の食事を3〜4回に分けて与えることで、胃への負担を軽減します。
2. 低脂肪・高消化性フード
脂肪は消化に時間がかかるため、低脂肪の消化器サポートフードがおすすめです。
3. 温かい食事
冷たい食事は胃に負担をかけます。常温またはややぬるめの温度で与えましょう。
4. 食物繊維の調整
適量の可溶性食物繊維は腸内環境を整えますが、不溶性食物繊維は消化しづらいため注意が必要です。
🥬 胃に優しい食材
- 鶏ささみ:低脂肪・高タンパク
- 白身魚:消化が良く栄養豊富
- おかゆ(白米):消化しやすい炭水化物
- かぼちゃ:食物繊維とビタミンが豊富
- キャベツ:キャベジン(ビタミンU)が胃粘膜を保護
- さつまいも:消化を助ける食物繊維
🚫 避けるべき食材
- 脂肪の多い肉(豚バラ、牛バラなど)
- 人間用の加工食品(塩分・添加物が多い)
- 香辛料・刺激物
- 乳製品(下痢を起こしやすい)
- 生の野菜(消化しづらい)
🛡️ 胃炎の予防策
1. 誤食対策
拾い食いを防ぎ、家の中の誤飲しそうなものは片付けましょう。
2. ストレス管理
快適な環境を整え、過剰なストレスを避けましょう。
3. 急な食事変更を避ける
フードを変える時は、1〜2週間かけて徐々に切り替えましょう。
4. 薬の適切な使用
人間用の薬は絶対に与えず、獣医師の指示通りに薬を使用しましょう。
5. 定期的な健康チェック
年1〜2回の健康診断で早期発見を心がけましょう。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. 胃炎は自然に治りますか?
A. 軽度の急性胃炎であれば、原因を取り除けば1〜3日で自然に回復することもあります。ただし、慢性胃炎や潰瘍性胃炎は自然治癒が期待できないため、必ず動物病院を受診してください。
Q2. 嘔吐が続く場合、絶食はどのくらい必要ですか?
A. 一般的には6〜24時間の絶食が推奨されます。ただし、水分は少量ずつ与え、脱水を防ぐことが重要です。24時間以上の絶食は獣医師の指示のもとで行ってください。
Q3. 人間用の胃薬を犬に与えても大丈夫ですか?
A. 絶対にやめてください。人間用の薬は犬にとって危険な成分が含まれていることがあります。必ず獣医師に相談して、犬用の薬を処方してもらいましょう。
Q4. 慢性胃炎は完治しますか?
A. 原因によります。食物アレルギーが原因であれば食事管理で改善する可能性がありますが、免疫系の異常や構造的な問題の場合は、長期的な管理が必要になることが多いです。
Q5. 胃炎になりやすい犬種はいますか?
A. 大型犬や超大型犬は胃潰瘍のリスクが高いと言われています。また、ミニチュア・シュナウザーやヨークシャー・テリアなど、消化器疾患になりやすい犬種も存在します。
✨ まとめ
犬の胃炎について、重要なポイントをおさらいしましょう。
- ✅ 急性胃炎は1〜3日で回復する可能性が高い
- ✅ 慢性胃炎は2週間以上続き長期管理が必要
- ✅ 潰瘍性胃炎は吐血・タール便があれば緊急受診
- ✅ 絶食・点滴・薬物療法が基本的な治療
- ✅ 少量頻回食と消化に良い食事が予防の鍵
- ✅ 人間用の薬は絶対に与えない
- ✅ 誤食対策とストレス管理が重要
愛犬の胃炎は、早期発見と適切な治療で改善する可能性が高い病気です。日頃から愛犬の様子をよく観察し、少しでも異変を感じたら早めに獣医師に相談しましょう。正しい食事管理と予防策で、愛犬の胃を守ってあげてください!💊🐕
🩺 獣医師への相談を忘れずに
本記事は一般的な情報提供を目的としています。愛犬が嘔吐を繰り返す、食欲がない、吐血やタール便が見られるなどの症状がある場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。胃炎の種類や原因によって適切な治療方法は異なるため、専門家の診断と治療を受けることが最も重要です。自己判断での治療は症状を悪化させる可能性がありますので、必ず獣医師の指示に従ってください。

