犬の関節炎の症状と治療|シニア犬に多い病気の早期発見と対策

犬のケア

「最近、愛犬が散歩を嫌がるようになった」「階段の上り下りをためらうようになった」「立ち上がる時に時間がかかる」——こんな変化に気づいたら、それは関節炎のサインかもしれません。

関節炎は、シニア犬の約80%が経験するとされる一般的な病気です。軟骨がすり減り、骨同士が直接こすれ合うことで炎症と痛みが発生し、愛犬の生活の質(QOL)を大きく低下させます。

しかし、早期発見と適切な治療により、進行を遅らせ、痛みを軽減することは十分に可能です。本記事では、犬の関節炎の種類と症状、最新の治療法、リハビリテーション、そして日常生活での予防・管理方法まで、獣医師の知見に基づいて徹底解説します。

犬の関節炎とは?基礎知識と発症メカニズム

関節炎の定義

関節炎とは、関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、可動域の制限が生じる病気の総称です。犬の関節は、骨の末端を覆う軟骨と、関節を包む関節包、そして関節液で構成されています。

健康な関節では、軟骨がクッションの役割を果たし、骨同士の摩擦を軽減します。しかし、加齢や過度な負荷により軟骨が摩耗すると、骨が直接こすれ合い、炎症が発生します。この状態が変形性関節症(Osteoarthritis, OA)であり、犬の関節炎の中で最も一般的なタイプです。

関節炎の発症メカニズム

📊 4つの進行段階

1軟骨の摩耗:加齢、肥満、過度な運動などにより軟骨が徐々にすり減る

2炎症の発生:摩耗した軟骨の破片が関節液に混じり、炎症反応を引き起こす

3骨の変形:慢性的な炎症により骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起が形成される

4痛みと可動域制限:炎症と骨の変形により、動かすたびに痛みが生じ、関節の動きが悪くなる

重要:関節炎は進行性の病気であり、一度損傷した軟骨は完全には再生しません。そのため、早期発見と適切な管理が極めて重要です。

関節炎の種類と原因|変形性関節症が最多

1. 変形性関節症(Osteoarthritis, OA)

最も一般的なタイプで、シニア犬の約80%が罹患するとされています。

主な原因

  • 加齢:年齢とともに軟骨の再生能力が低下
  • 肥満:体重増加により関節への負荷が増大
  • 過度な運動:激しい運動や繰り返しの衝撃が軟骨を損傷
  • 遺伝的要因:股関節形成不全、肘関節形成不全など
  • 外傷:骨折、脱臼、靭帯損傷の後遺症

2. リウマチ性関節炎

免疫系の異常により、自己の関節組織を攻撃してしまう自己免疫疾患です。犬では比較的まれですが、若齢から中年の犬に発症することがあります。

3. 免疫介在性関節炎

感染症やワクチン接種、薬物反応などをきっかけに、免疫系が過剰反応して関節炎を引き起こすタイプです。

4. 敗血症性関節炎

細菌感染が関節内で起こり、急性の炎症を引き起こします。外傷や手術後の合併症として発症することがあります。

発症しやすい犬種

特に大型犬は体重の負荷が大きいため、関節炎のリスクが高くなります。

🐕 大型犬

ゴールデン・レトリバー
ラブラドール・レトリバー
ジャーマン・シェパード
バーニーズ・マウンテンドッグ
ロットワイラー

🐕 小型犬

ミニチュア・ダックスフンド
トイ・プードル
ビーグル

※膝蓋骨脱臼のリスクが高い

関節炎の症状と早期発見チェックリスト

犬は痛みを隠す習性があるため、飼い主が早期に異変に気づくことが重要です。以下の症状が見られたら、関節炎の可能性を疑いましょう。

🔍 初期症状(軽度)

  • ✓ 散歩や運動を嫌がるようになる
  • ✓ 歩き方がぎこちない、特定の足をかばうように歩く
  • ✓ ソファーや階段の上り下りをためらう、またはできなくなる
  • ✓ 寝床から立ち上がる時や座る時に時間がかかる
  • ✓ 朝起きた時や長時間休息後の動き出しが遅い
  • ✓ 遊びや活動量が減少する

⚠️ 進行期症状(中度)

  • ✓ 明らかな跛行(びっこを引く歩き方)
  • ✓ 関節を触られるのを嫌がる、触ると痛がる
  • ✓ 関節が腫れている、または熱を持っている
  • ✓ 散歩の途中で座り込む、歩行距離が短くなる
  • ✓ 性格が攻撃的になる、または引きこもりがちになる

🚨 重度症状

  • ✓ 歩行困難、ほとんど動かなくなる
  • ✓ 食欲不振、体重減少
  • ✓ 痛みによる鳴き声や吠え声
  • ✓ 排泄姿勢が取れない

📋 早期発見のための10項目チェックリスト

以下の項目で3つ以上当てはまる場合は、動物病院での診察をお勧めします。

  • 散歩に行きたがらない
  • 走らなくなった
  • ジャンプや高いところに上がろうとしない
  • 階段の上り下りをしなくなった
  • 立ち上がりがつらそう、ゆっくり
  • 足をかばうように歩く
  • 朝の動き出しが悪い
  • 寒い日に症状が悪化する
  • 関節を触ると嫌がる
  • 遊びや活動量が減った

診断方法|レントゲン検査とCT検査

問診と触診

獣医師は、まず飼い主からの詳しい症状の聞き取りを行います。いつから症状が始まったか、どのような動作で痛がるか、生活環境などが診断の重要な手がかりとなります。

次に、触診により、関節の腫れ、熱感、痛みの有無、可動域の制限などを確認します。また、歩行の様子を観察し、どの関節に問題があるかを特定します。

レントゲン検査(X線検査)

関節炎の診断において最も基本的で重要な検査です。

レントゲン画像で確認できる変化

  • 骨棘の形成:骨の縁に突起(骨棘)が見られる
  • 関節腔の狭小化:軟骨がすり減り、骨同士の間隔が狭くなる
  • 軟骨下骨の硬化:軟骨の下の骨が硬くなる
  • 関節液の増加:関節包の腫れ

CT・MRI検査

より詳細な画像診断が必要な場合、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像法)が用いられます。これらの検査は、軟骨、靭帯、筋肉などの軟部組織の状態を詳しく評価できます。

関節液検査

関節液を採取し、細菌感染や免疫介在性関節炎の有無を調べます。敗血症性関節炎やリウマチ性関節炎が疑われる場合に実施されます。

血液検査

全身状態の確認や、薬物療法を開始する前の肝臓・腎臓機能のチェックのために行われます。

治療法①:内科的治療(薬物療法)

関節炎の治療において、薬物療法は痛みと炎症をコントロールする重要な手段です。ただし、薬は「痛みのブレーキ」であり、治療の土台となる体重管理や運動療法と併用することが大切です。

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

💊 代表的なNSAIDs

  • メロキシカム(メタカム®)
  • カルプロフェン(リマダイル®)
  • フィロコキシブ(プレビコックス®)
  • ロベナコキシブ(オンシオール®)

効果:炎症の原因となる酵素(COX)の働きを抑制し、痛みと腫れを軽減します。多くの犬で効果が認められ、投与後数日から改善が見られます。

副作用と注意点

  • 消化器症状:嘔吐、下痢、食欲不振、胃潰瘍
  • 肝臓・腎臓への影響:長期使用により肝酵素値や腎機能が変動することがある

定期的な血液検査(3〜6ヶ月ごと)が必須です。既に肝臓・腎臓に問題がある犬には慎重に使用する必要があります。

💰 価格帯の目安(1週間あたり)

小型犬:800〜2,000円
中型犬:1,200〜2,500円
大型犬:1,400〜3,000円

EP4拮抗薬(ガリプラント®)

🆕 新タイプの鎮痛薬

NSAIDsが使いづらい犬にも使用できる新タイプの鎮痛薬です。プロスタグランジンE2受容体のサブタイプ(EP4)を選択的に阻害し、痛みを軽減します。

効果:NSAIDsと同等の鎮痛効果を持ちながら、消化器への負担が少ないとされています。ただし、完全に副作用がないわけではなく、血液検査は必要です。

💰 価格帯の目安(1週間あたり)

小型犬:1,100〜2,200円
中型犬:1,800〜2,500円
大型犬:3,200〜5,000円

抗NGF抗体薬(リブレラ®)

🌟 最新の関節炎治療薬

2023年に日本で発売された最新の関節炎治療薬で、月1回の注射で効果が持続します。

メカニズム:NGF(神経成長因子)という痛みの原因物質をブロックすることで、痛みの感覚を抑えます。NSAIDsとは全く異なる作用機序を持ちます。

特徴

  • 月1回の注射で済むため、毎日の投薬が困難な犬に適している
  • 肝臓・腎臓への負担がNSAIDsより少ない
  • NSAIDsが使えない犬にも選択肢となる

💰 価格帯の目安

1ヶ月あたり:9,000〜18,000円

カルトロフェン・ベット®

💉 関節の環境を整える注射薬

週1回×4回を導入コースとします。関節液の質を高め、軟骨の健康を維持する効果が期待されます。

効果

  • 関節液の粘度を高め、潤滑作用を改善
  • 軟骨の保護と修復をサポート
  • 炎症を抑制

💰 価格帯の目安

導入4回コース:8,000〜28,000円

補助薬

NSAIDsやリブレラ®だけで痛みが残る場合、神経の過敏さを抑える薬を追加することがあります。

  • ガバペンチン:神経障害性疼痛に効果
  • プレガバリン:神経の興奮を抑える
  • アマンタジン:NMDA受容体拮抗薬
  • アミトリプチリン:三環系抗うつ薬(鎮痛効果)

主な副作用は眠気・ふらつきです。

推奨されない薬
トラマドールは以前使われていましたが、犬の関節炎への効果が乏しいという研究が増えており、現在ではほとんど推奨されていません。

治療法②:サプリメント療法の効果と選び方

サプリメントは副作用が少なく、長期的に継続することで関節の健康をサポートします。薬物療法との併用により、相乗効果が期待できます。

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)

最も科学的根拠が豊富で、関節炎に対する効果が実証されているサプリメントです。

🐟 効果

  • 炎症を抑制するプロスタグランジンの産生を促進
  • 軟骨の劣化を抑制
  • 跛行の改善

代表的な製品

  • アンチノール®:緑イ貝由来のオメガ3脂肪酸
  • EAB-277®:魚油由来のEPA・DHA

📊 摂取量の目安

体重5kgあたり小さじ1/4〜1/2杯程度のオメガ3脂肪酸を1日1回〜数回に分けて与えます。

UC-II(非変性II型コラーゲン)

鶏の胸軟骨から抽出されたコラーゲンで、関節の炎症を抑える効果が報告されています。

効果

  • 免疫系を調整し、関節の炎症を軽減
  • グルコサミン・コンドロイチンよりも効果が高いとする研究あり

ASU(アボカド大豆不鹸化物)

アボカドと大豆から抽出された成分で、軟骨の保護と炎症抑制効果があります。

グルコサミン・コンドロイチン

軟骨の構成成分であり、長年関節サプリの定番として使用されてきました。

効果

  • 関節の動きを滑らかにする
  • 軟骨の保水性を保つ
注意点:近年の研究では、軟骨再生効果については否定的な見解が増えていますが、痛みの軽減に役立つケースはあるとされています。

MSM(メチルスルフォニルメタン)

有機硫黄化合物で、抗炎症作用と鎮痛効果があります。グルコサミン・コンドロイチンと併用されることが多いです。

✅ サプリメントの選び方

  • 科学的根拠のある成分を選ぶ:オメガ3、UC-II、ASUなど
  • 品質の高い製品を選ぶ:獣医師が推奨するブランドを選ぶ
  • 継続が重要:効果が現れるまで2〜3ヶ月かかることがある
  • 薬物療法との併用:サプリメント単独ではなく、薬物療法と組み合わせることで効果が高まる

治療法③:外科的治療とリハビリテーション

外科的治療

保存的治療(薬物療法、サプリメント、リハビリ)で効果が不十分な場合、または関節の構造的問題がある場合に外科的治療が検討されます。

手術名 適応 費用 回復期間
人工関節置換術(THR) 重度の股関節炎、股関節形成不全 片脚35〜70万円 3〜6ヶ月
大腿骨頭切除術(FHO) 小型犬の股関節炎 片脚12〜25万円 2〜4ヶ月
骨盤骨切り術(TPO) 若齢犬の股関節形成不全 両脚約30万円 2〜3ヶ月
関節固定術 肘関節・足根関節の重度関節炎 15〜40万円 3〜5ヶ月

リハビリテーション

リハビリテーションは、関節の可動域を維持し、筋力を回復させ、痛みを軽減する重要な治療法です。

💧 水中療法(ハイドロセラピー)

水の浮力により関節への負荷を軽減しながら、筋力を維持・向上させることができます。

🏊 水中トレッドミル

  • 水深を調整することで、関節への負荷をコントロール
  • 歩行訓練に最適
  • 術後早期からのリハビリが可能

🏊 スイミング

  • 全身運動により筋力を強化
  • 関節への負担が少ない

🔬 理学療法

主な理学療法

  • レーザー治療:低レベルレーザーにより炎症を抑制し、痛みを軽減
  • 電気刺激療法:筋肉を刺激し、萎縮を防ぐ
  • 温熱療法:血流を改善し、痛みを軽減
  • 寒冷療法:急性炎症時に腫れと痛みを抑制

✋ マッサージとストレッチ

自宅でもできるリハビリ方法です。

  • マッサージ:筋肉の緊張をほぐし、血流を改善
  • パッシブストレッチ:関節の可動域を維持するために、飼い主が犬の足を優しく曲げ伸ばしする

🏃 自宅でできるリハビリ運動

  • ゆっくり散歩:1日30分前後、無理のない範囲で継続
  • バランスボール:体幹を鍛える
  • 階段昇降(緩やか):筋力維持に効果的(ただし急な階段は避ける)

予防と生活管理|体重・運動・環境整備

関節炎の治療において、日常生活での管理が最も重要です。薬物療法だけでなく、体重管理、適切な運動、生活環境の改善が治療の土台となります。

体重管理

体重を10%減らすだけで歩き方が改善したというデータがあるほど、体重管理は関節炎治療の最優先事項です。

🎯 目標設定

獣医師と相談しながら理想体重(BCS 3/5)を目指しましょう。肋骨が触って分かる程度が理想です。

📋 具体的な対策

  • おやつの見直し:カロリーの高いおやつを低カロリーのものに変更
  • 低カロリーフード:減量用フードを選ぶ
  • 食事の計量:毎回計量して与えることで、過剰摂取を防ぐ
  • 給餌回数の調整:1日2〜3回に分けて与え、満腹感を維持

適切な運動

関節炎は「動かないと悪化する」のが特徴です。筋肉が落ちると痛みが増えるため、継続した軽い運動が最大の治療になります。

✅ 推奨される運動 ❌ 避けるべき運動
ゆっくり散歩(1日30分前後) 激しいランニング
水中歩行 ジャンプ
平坦な道での散歩 急な方向転換
軽いストレッチ 階段の頻繁な昇降

生活環境の改善

🛡️ 滑り止め対策

フローリングは滑りやすく、関節に大きな負担をかけます。

  • 滑り止めマット:廊下やリビングに敷く
  • カーペット:犬が頻繁に歩く場所に設置
  • 肉球ケア:肉球の間の毛をカットし、滑り止めワックスを使用

🚪 階段・段差対策

対策方法

  • スロープ:階段やソファへのアクセスにスロープを設置
  • ペットステップ:小型犬用の低い段差のステップ
  • ベビーゲート:階段への立ち入りを制限

🛏️ 寝床の工夫

  • 低反発マット:関節への圧迫を軽減
  • 整形外科用ベッド:体圧分散機能のあるベッド
  • 温かい環境:寒さは関節炎を悪化させるため、暖かい寝床を用意

🌡️ 室温管理

寒い季節は関節炎の症状が悪化しやすいため、室温を20〜22℃に保ちましょう。

栄養管理

🍽️ 抗炎症食事療法

高タンパク・低炭水化物・中〜高脂肪食(動物性タンパク質をしっかり与え、穀類、イモ類などの炭水化物を極力控える)を心がけます。

🐟 オメガ3脂肪酸の摂取

魚油に多く含まれるオメガ3脂肪酸は炎症を抑える働きがあります。

  • 鮭(サーモン)
  • サバ
  • 青魚
  • 亜麻仁油
  • チアシード

犬種別・年齢別の注意点

大型犬の関節炎リスクと対策

大型犬は体重の負荷が大きいため、関節炎のリスクが高くなります。

🐕 発症しやすい犬種

ゴールデン・レトリバー
ラブラドール・レトリバー
ジャーマン・シェパード
バーニーズ・マウンテンドッグ
ロットワイラー

対策

  • 成長期の管理:発育段階にあたるおよそ2歳までの間、強い負荷のかかる運動を避ける
  • 体重管理:肥満を避け、理想体重を維持
  • 股関節形成不全のスクリーニング:遺伝的リスクの高い犬種は、若齢時にレントゲン検査を受ける

小型犬の特徴

小型犬は膝蓋骨脱臼のリスクが高く、これが関節炎の原因となることがあります。

🐕 発症しやすい犬種

ミニチュア・ダックスフンド
トイ・プードル
チワワ
ポメラニアン

対策

  • ジャンプの制限:ソファや階段への飛び乗りを避ける
  • 膝蓋骨脱臼の早期診断:定期的な獣医師の触診

成犬期からの予防の重要性

関節炎は加齢により発症リスクが高まりますが、成犬期からの予防が将来の関節の健康を守ります。

  • 適正体重の維持
  • 適度な運動:筋力を維持し、関節を支える
  • サプリメントの予防投与:特にリスクの高い犬種は、若いうちからオメガ3などを摂取

シニア期の管理ポイント

シニア期(7歳以上)になると、関節炎の発症リスクが急増します。

  • 定期的な健康診断:年2回の獣医師による触診とレントゲン検査
  • 早期発見:初期症状を見逃さない
  • 生活環境の調整:滑り止め、スロープ、暖かい寝床の提供
  • 運動の調整:短時間の散歩を複数回に分ける

よくある質問(FAQ)

関節炎は完治するのですか?

残念ながら、変形性関節症は完治しません。一度損傷した軟骨は完全には再生しないためです。しかし、早期発見と適切な治療により、進行を遅らせ、痛みを軽減し、生活の質を維持することは可能です。

痛み止めの長期使用は安全ですか?

NSAIDsなどの痛み止めは、長期使用により肝臓や腎臓に影響を及ぼす可能性があります。そのため、定期的な血液検査(3〜6ヶ月ごと)が必須です。獣医師の指示に従い、適切な用量で使用すれば、多くの犬で安全に使用できます。

サプリメントの効果はいつから実感できますか?

サプリメントの効果が現れるまでには、2〜3ヶ月かかることがあります。継続的に摂取することで、関節の健康をサポートし、痛みの波を小さくします。即効性を期待するのではなく、長期的な視点で使用しましょう。

運動はどの程度させるべきですか?

適度な運動は関節炎の治療に不可欠です。動かないと筋肉が落ち、関節への負担が増えます。1日30分前後のゆっくり散歩を目安に、愛犬の様子を見ながら調整しましょう。痛がる場合は無理をせず、水中歩行などの低負荷運動を検討してください。

寒い季節の対策は?

寒さは関節炎の症状を悪化させます。以下の対策を実施しましょう。

  • 室温を20〜22℃に保つ
  • 暖かい寝床を用意する
  • 散歩前に室内で軽くウォーミングアップ
  • 散歩後は温かいタオルで体を拭く

関節炎の犬にとって、どのような寝床が最適ですか?

低反発マット整形外科用ベッドが理想的です。体圧を分散し、関節への圧迫を軽減します。また、暖かい素材のベッドを選び、寒さ対策も兼ねましょう。

サプリメントと薬は併用できますか?

はい、併用できます。むしろ、サプリメントと薬物療法を併用することで、相乗効果が期待できます。ただし、必ず獣医師に相談してから使用してください。

関節炎の犬に適した食事は?

高タンパク・低炭水化物・オメガ3脂肪酸配合の食事が推奨されます。体重管理のために低カロリーであることも重要です。関節サポート用の療法食も選択肢の一つです。

まとめ

犬の関節炎は、シニア犬の約80%が経験する一般的な病気ですが、早期発見と適切な治療により、進行を遅らせ、痛みを軽減することが可能です。

🔍 早期発見の重要性

関節炎は進行性の病気であり、一度損傷した軟骨は完全には再生しません。そのため、初期症状を見逃さず、早期に治療を開始することが愛犬のQOLを守る鍵となります。

🔄 多角的なアプローチの必要性

関節炎の治療は、薬物療法だけでは不十分です。体重管理、適切な運動、サプリメント、生活環境の改善、リハビリテーションなど、多角的なアプローチが必要です。

✅ 飼い主ができること

👁️

毎日の観察:歩き方や動作の変化に気を配る

⚖️

体重管理:適正体重を維持し、関節への負担を軽減

🏃

適度な運動:筋力を維持し、関節を支える

🏠

生活環境の改善:滑り止め、スロープ、暖かい寝床の提供

🏥

定期的な獣医師の診察:年2回の健康診断を受ける

🤝 動物病院との連携

関節炎の治療は、獣医師との密接な連携が不可欠です。定期的な診察と血液検査を受け、愛犬の状態に合わせた治療プランを調整していきましょう。

愛犬が「いつも通り」の生活を送り、楽しい時間を過ごせるように、早期発見と適切な管理を心がけましょう。

気になる症状があれば、手遅れになる前に、動物病院にご相談ください。

📚 参考文献

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    https://www.fpc-pet.co.jp/dog/disease/149
  2. アニコム損保「犬の関節炎とは?症状や治療法を解説」
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  3. 岡部獣医科病院「犬の関節炎。治療の前に本当に大事なことは?」
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  4. 辻堂犬猫病院「変形性関節症(DJD)」
    https://tsujido-catsanddogs.com/orthopedic/case25/
  5. ハッシュ・ハグ「犬の関節炎とは?原因や症状、治療法・予防法を解説」
    https://www.hash-hugq.com/dog/article/detail/id=5600
  6. Zoetis「犬の関節の痛みレベルチェックシート」
    https://www2.zoetis.jp/content/_assets/Image/Species/dogs/Migration-Images/Reference/PDF/tool_04.pdf
  7. ビルバック「愛犬の関節が痛そう…これって関節炎?症状と対策」
    https://virbac-services.jp/pet-qa/dog-joint-painful
  8. あおばペットクリニック「犬の新しい痛み止め『リブレラ』」
    https://www.aoba-pc.com/news/2024/01/08/4571/
  9. ボネールどうぶつ病院「犬の変形性関節症とリブレラについて」
    https://bonheur-animal-hospital.com/column/general/455/
  10. Purina Institute「犬の変形性関節症」
    https://www.purinainstitute.com/ja/centresquare/therapeutic-nutrition/canine-osteoarthritis
  11. POCHI「皮膚、関節のお悩みにEPA。犬の健康に関する働きを解説」
    https://www.pochi.co.jp/ext/magazine/2023/07/what-is-epa-for-dog2023.html
  12. マイベスト「犬の関節ケアサプリのおすすめ人気ランキング」
    https://my-best.com/6484
  13. One千葉どうぶつ整形外科センター「犬のハイドロセラピー」
    https://one-for-animals.co.jp/jiyugaoka/hydro/
  14. Healthy Animals「愛犬の”いつまでも歩ける幸せ”を支える水中トレッドミル」
    https://healthyanimals.jp/p8716/
  15. FooDog「犬の関節ケアと健康を守る食事法」
    https://foodog.site/2025-9-15-dog-joint-care-foodog-natural-food/
  16. Nutreats「愛犬の関節を守る食べ物とは?」
    https://nutreats.jp/blogs/column/column18
  17. ペッツケア「犬におすすめのグルコサミン総まとめ」
    https://www.petscare.com/jp/news/post/best-glucosamine-for-dogs
  18. Amazon「Nutramax Cosequin for Dogs Joint Health Supplement」
    https://www.amazon.com/dp/B003ULL1NQ

※本記事は獣医療に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の診断や治療を推奨するものではありません。愛犬の健康状態については、必ず獣医師にご相談ください。

※記事内の価格は目安であり、地域や病院により異なります。

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