犬種・体格別の睡眠時間|小型犬・大型犬・子犬・シニアで違う適正睡眠と寝すぎのサイン

犬のしつけ

犬種・体格別の睡眠時間|小型犬・大型犬・子犬・シニアで違う適正睡眠と寝すぎのサイン

愛犬が一日中寝ているように見えて、「こんなに寝ていて大丈夫?」と心配になることはありませんか。

犬の睡眠時間は「小型犬は○時間、大型犬は○時間」とよく紹介されます。ところが資料を見比べると、数値はばらばらです。この記事では、体格と年齢を掛け合わせた目安を、資料の出所や数値のばらつきとあわせて整理しました。

結論

結論から言うと、犬の睡眠時間の目安は年齢でおおまかに分かれ、体格による違いは「傾向」と言える程度です。

子犬は18〜20時間とする資料が多いです。ただ、飼い主報告の研究では16週齢で約11時間という報告もあり、数字は測り方で変わるとみられます。

成犬は約8〜14時間とされます。シニアは16〜18時間とする資料が多く、14〜20時間と幅をとる資料もあります。シニアの時間数の査読根拠は確認できていません。体格別の時間数にも、査読論文での裏付けが見当たりません。

数字に当てはめるより、「いつもと比べた変化」と、食欲や呼吸などほかの様子をセットで見ることが大切です。

この記事でわかること

  • 体格×年齢で見る犬の睡眠時間の目安(クロス表)
  • それぞれの数値の出所と、資料ごとのばらつき
  • 子犬の睡眠時間が資料によって大きく違う理由
  • 小型犬と大型犬で睡眠時間が違うと言い切れない理由
  • 寝すぎが気になるときの受診の目安
  • シニア犬の睡眠で気にしたい変化

犬の睡眠時間の目安|体格×年齢のクロス表

まずは、体格と年齢を掛け合わせた目安を一覧にしました。各数値には、資料どうしで数値がどれくらい一致しているかを示すラベルをつけています。

  • 〇:複数の海外資料が、おおむね同じ数値を示している
  • △:資料によって数値の幅が違う
  • ×:国内外のペット情報メディアの目安で、資料ごとに数値が割れている

どのラベルも、査読論文で確かめられた数値という意味ではありません。主な資料の出所の種類は次のとおりです。

  • AKC:米国の愛犬団体(獣医師のコメントを含む解説記事)
  • AKC Reunite:マイクロチップ・迷子登録の団体
  • PetMD:獣医師がレビューする情報サイト
  • Chewy:ペット用品小売業者の解説(獣医師コメント付き)
  • 国内の資料:動物病院のブログ、獣医師監修のメディア、監修者を確認できないブログなど
体格 子犬(〜約1歳) 成犬 シニア
体格共通(海外資料) 18〜20時間 〇(AKC、AKC Reunite、PetMDなど。研究では約11時間の報告あり) 約8〜14時間 △(AKC Reunite。PetMDは12〜16時間) 16〜18時間とする資料が多い。14〜20時間の資料も △
小型犬 体格共通の目安を参照 約10〜16時間 × 体格共通の目安を参照
中型犬 体格共通の目安を参照 約10〜15時間 × 体格共通の目安を参照
大型犬(超大型犬を含む) 体格共通の目安を参照 約12〜20時間 × 体格共通の目安を参照

子犬とシニアは、体格ごとに分けた資料が見当たらないため、共通の目安だけを載せています。

子犬の「〜約1歳で18〜20時間」は、AKC Reuniteの区分です。区分や測り方によって数字が変わるため、あくまで目安として見てください。

成犬の体格別の数値は、国内外のペット情報メディアの目安を幅でまとめたものです。AKC Reuniteは成犬を約8〜14時間とし、超大型犬はやや多め、小型犬はやや少なめとしています。表の体格別の数値で、8〜14時間より上限が高いものは主に国内メディアの目安です。小型犬で14〜16時間とする資料もあり、AKC Reuniteの説明とも一致しません。

体格別の数値は、出典が弱い目安としておおまかに眺めてください。理由は後半の「体格別の目安が割れる理由」で説明します。

どの年齢・体格でも、個体差があります。愛犬のふだんの睡眠を基準にするのがいちばん確かです。

年齢別の睡眠時間|子犬・成犬・シニア

子犬:18〜20時間という目安と、約11時間という研究報告

アメリカンケネルクラブ(AKC)は、子犬の睡眠を1日18〜20時間ほどとしています。起きて遊んでは、30分〜2時間ほど昼寝をするリズムをくり返すとされています。睡眠は、脳や免疫、筋肉などの発達を支える時間と考えられています。

一方で、飼い主さんの報告をもとに子犬の睡眠を調べた研究(Kinsmanら、2020年)では、24時間の平均睡眠は16週齢で約11.2時間、12か月齢で約10.8時間でした。

18〜20時間とする資料が多いものの、研究ではこうした報告もあり、数字は測り方で変わるとみられます。実際に眠っている時間か、休んでいる時間も含むかの違いが一因かもしれません。ただ、その理由を直接示した資料は確認できませんでした。

子犬の夜泣きが気になる方は「犬の夜泣き・夜鳴きの原因と対処法」も参考にしてください。

成犬:約8〜14時間(資料で幅がある)

AKC Reuniteでは、若い成犬を約8〜14時間としています。超大型犬はやや多め、小型犬はやや少なめという説明です。獣医師がレビューするPetMDでは12〜16時間としており、資料によって幅があります。

運動量や暮らし方によっても変わるため、個体差が大きい時期です。

シニア:16〜18時間とする資料が多い(14〜20時間の資料も)

シニア犬は、子犬と同じくらい長く眠るようになると言われています(AKC Reunite)。16〜18時間とする資料が多く、14〜20時間と幅をとる資料もあります。幅をとる例は、2018年のPetMDの記事で獣医師の見積もりとして紹介されたものです。

ただし、シニアの睡眠時間数の査読根拠は、今回の調査では確認できませんでした。

AKCの記事では、20時間を超える睡眠や、睡眠パターンの急な変化は、基礎疾患のサインのことがあるとしています。年齢に合わせた暮らし方は「犬の平均寿命と長生きの秘訣」でも紹介しています。

小型犬と大型犬で睡眠時間は違う?体格別の目安が割れる理由

「体の大きい犬ほど長く眠る」という説明はよく見かけます。AKCも、一般論として大きな犬種ほどうとうとする時間が長いと述べています。同時に、犬種ごとの活発さや、その犬自身による部分が大きいとも書いています。

先ほどの子犬の研究では、体の大きさで睡眠パターンが違うのかは、まだはっきりしないとしています。犬種と睡眠の関係も、これまで調べられてこなかったと述べています。

健康な成犬42頭に活動量計をつけた米ノースカロライナ州立大学の研究(Woodsら、2020年)では、体重が活動のパターンに関わっていました。ただし、体格ごとの睡眠時間の差までは示されていません。

獣医師監修のペット&ファミリー損保の解説は、犬種ごとの調査報告は少なく、個体差の方が大きいとしています。

実際に国内の記事を見比べても、体格別の数値はばらばらです。大型犬ほど長いとする動物病院の解説もあれば、中型犬がいちばん短いとするブログ(監修者は確認できず)もあります。体格別の時間数は、あくまでおおまかな幅として受け止めてください。

体格より「顔の形」が関わる例:短頭種

体格とは別に、顔の形が睡眠に関わるという研究があります。Iotchevら(2023年)の研究では、短頭種と呼ばれる鼻の短い犬種は、測定された睡眠時間が長い傾向があると報告されています。

ここで比べているのは、脳波を測る検査の時間内での睡眠時間です。1日の睡眠時間を比べたものではありません。

研究では、睡眠中の呼吸の乱れ(睡眠時無呼吸)が日中の眠気を増やしている可能性が示唆されています。ただし、原因が呼吸や体温調節の問題か、幼い犬に似た睡眠のパターンか、神経心理的な状態かは不明だと、抄録自体が述べています。

いびきが大きい、寝ているときの呼吸が苦しそうなど気になる様子があれば、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

犬がよく寝ているように見える理由

犬が長く寝ているように見えるのは、眠り方の違いも関係しています。AKCによると、犬の睡眠のうちレム睡眠は約10%で、人(最大25%)より少ないとされています。

犬はすっと眠り、すぐに目を覚ますことができます。こうした眠り方のため、合計の睡眠時間が長くなると言われています。

レム睡眠中は、目が動いたり、小さく鳴いたり、足を動かしたりすることがあります(VCA)。眠りのしくみやいびき・寝言は「犬の睡眠の秘密」で詳しく解説しています。

寝すぎのサイン|受診の目安は「長さ」より「変化」

よく寝ること自体は、それだけで病気とは限りません。大切なのは、時間の長さよりも「いつもと比べた変化」と「ほかに気になる様子があるか」です。

気になる様子 見るポイント 行動の目安
呼吸がいつもと違う 休んでいるのに呼吸が荒い、苦しそう すぐ連絡
ぐったりして反応しない 呼びかけても起きない、立ち上がれない すぐ連絡
睡眠が急に増えた 好きな散歩や遊びに乗ってこない 早めに相談
なかなか起きない 声かけや物音への反応がいつもより鈍い 早めに相談
食欲・飲水量の変化 ごはんを残す、水を飲む量が増えた・減った 早めに相談
痛がる・動きたがらない 触ると嫌がる、立ち上がるのを渋る 早めに相談
嘔吐・下痢 寝てばかりに加えておなかの症状がある 早めに相談
よく寝るが、ほかはいつもどおり 食欲・元気・散歩の様子に変わりがない 様子を見て相談(変化が続く・増えるときは早めに)

子犬・シニア犬・短頭種は、ふだんと違う様子があれば早めに相談してください。表で「様子を見て相談」に当たる場合も、待たずに相談してかまいません。

ペット&ファミリー損保の獣医師監修の解説では、寝た姿勢のままでいるのは、痛みで動けないだけの場合もあるとしています。

AKCは、元気がない状態(無気力)について次のように説明しています。ほかに兆候がなく、獣医師が様子見を提案する場合は、24時間たっても良くならなければ受診をすすめています。

これは睡眠時間の基準ではなく、元気がない状態の目安です。子犬やシニア犬、嘔吐や食欲の低下などを伴うときは、24時間を待たずに獣医師に相談してください。

注意: ぐったりして呼びかけに反応しない、呼吸が苦しそうなときは、様子を見ずにすぐ動物病院へ連絡してください。

AKCは、寝すぎが甲状腺機能低下症や糖尿病、聴力の低下などのサインの場合もあるとしています。甲状腺機能低下症では、元気がない、運動したがらない、食べる量は増えないのに体重が増える、寒がるといった様子が知られています。

クッシング病は中高齢の犬に多く、水をよく飲む、尿が多い、食欲が増すといった様子と組み合わせて見られることがあります。

いずれも、睡眠の長さだけで判断できるものではありません。気になる組み合わせがあれば、獣医師の診察で確かめてもらいましょう。

シニア犬の睡眠で気にしたいこと|昼夜逆転・夜の落ち着かなさ

シニア犬では、睡眠時間の長さだけでなく、眠る時間帯の変化にも目を向けたいところです。

VCAは、高齢犬の認知機能不全のサインのひとつとして、睡眠と覚醒のリズムの乱れを挙げています。昼によく眠り、夜は落ち着かずに歩き回るといった様子です。

一方で、夜中に起きてしまうのは、痛みや不快感が原因のこともあります(VIN Veterinary Partner)。ASPCAも、関節炎や甲状腺機能低下症、視力・聴力の低下などが行動の変化の背景になりうるとしています。

高齢犬28頭の昼寝を脳波などで調べた研究(Mondinoら、2023年)では、認知機能のスコアが悪い犬ほど、ノンレム睡眠とレム睡眠の時間が少ない傾向でした。

ただし、28頭と小規模で、午後2時間ほどの昼寝だけを調べた研究です。関連(相関)を見たもので、認知機能の低下が睡眠を減らすといった因果まではわかりません。

認知症のサインや対応は「犬の老化現象とシニアケア|認知症のサインと対応方法」で紹介しています。

よくある質問

Q. 子犬がほとんど一日中寝ています。大丈夫?

A. AKCは子犬の睡眠を18〜20時間ほどとしており、よく寝ること自体は珍しくありません。ただし、食欲がない、ぐったりしているなどの様子があれば、獣医師に相談しましょう。

Q. 大型犬のほうが小型犬より長く寝るのは本当?

A. そうした傾向を示す一般論はありますが、査読論文での裏付けは見当たりません。犬種の活発さや個体差による部分も大きいと言われています。

Q. 何時間以上寝たら病院に行くべきですか?

A. 時間数で一律に線を引ける査読根拠は確認できませんでした。なお、AKCの記事は、シニア犬で20時間を超える睡眠を基礎疾患のサインのことがあるとしています。睡眠が急に増えた、食欲や呼吸がいつもと違うなど、変化とほかの様子をあわせて見て、気になれば獣医師に相談してください。

Q. シニア犬が夜に寝てくれません。

A. 認知機能の変化のほか、痛みや不快感が原因のこともあると言われています。自己判断せず、かかりつけの獣医師に様子を伝えてみてください。

まとめ

  • 睡眠時間の目安は、年齢でおおまかに分かれる
  • 子犬は18〜20時間とする資料が多いが、研究では約11時間という報告もあり、数字は測り方で変わるとみられる
  • シニアは16〜18時間とする資料が多いが、時間数の査読根拠は確認できない
  • 体格別の時間数は資料で割れ、査読の裏付けは見当たらない
  • 短頭種は検査中の睡眠時間が長い傾向という研究があるが、原因は確定していない
  • 受診の目安は、時間の長さより「変化」と併発症状で考える

愛犬のふだんの寝方を知っておくと、いつもと違うときに気づきやすくなります。気になるときは、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師による診断や治療に代わるものではありません。睡眠時間の数値は各資料の目安で、すべての犬に当てはまるものではなく、個体差があります。

愛犬の睡眠や体調で気になることがあるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。ぐったりしている、呼吸が苦しそうなど緊急性が疑われるときは、すぐに動物病院を受診してください。本記事の内容は2026年10月時点で確認した情報にもとづいています。

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参考文献

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