犬の甲状腺機能低下症の症状と治療|ホルモン補充療法

犬と健康
  1. 犬の甲状腺機能低下症とは?
  2. 甲状腺の役割と機能低下のメカニズム
    1. 🧬 甲状腺ホルモンの主な働き
    2. ⚠️ 甲状腺機能低下症の発症メカニズム
  3. 甲状腺機能低下症の症状|気づきにくい初期サイン
      1. ✅ 甲状腺機能低下症の症状チェックリスト
    1. 🔍 特徴的な症状の詳細
      1. 1. 活動性の低下と無気力
      2. 2. 脱毛と被毛の変化
      3. 3. 肥満傾向
      4. 4. 粘液水腫と悲観的顔貌
      5. 5. 皮膚の変化
  4. 診断方法|血液検査と甲状腺ホルモン測定
    1. 🩸 診断の流れ
      1. 1. 問診と身体検査
      2. 2. 血液検査(一般血液検査)
      3. 3. 甲状腺ホルモン検査
      4. 4. サイログロブリン自己抗体(TgAA)検査
  5. ホルモン補充療法|レボチロキシンによる治療
    1. 💊 レボチロキシンナトリウム製剤
    2. 📅 投薬方法と用量
    3. 📈 治療効果の現れ方
  6. 定期検査とモニタリングの重要性
    1. 📊 モニタリングスケジュール
    2. ⚖️ 適正なホルモン濃度の目安
  7. 食事管理と生活習慣の工夫
    1. 🍽️ 食事管理のポイント
      1. 1. 低脂肪・低カロリー食
      2. 2. ヨウ素の適切な摂取
      3. 3. 食事回数と量の管理
    2. 🏃 運動と日常生活
  8. 予後と長期的なケア
    1. ✅ 長期的なケアのポイント
  9. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 甲状腺機能低下症は完治しますか?
    2. Q2. 薬を飲み忘れたらどうすればいいですか?
    3. Q3. 治療費はどのくらいかかりますか?
    4. Q4. 他の病気と併発することはありますか?
    5. Q5. サプリメントは効果がありますか?
  10. おすすめ健康管理グッズ【Amazon】
      1. 🩺 ペット用体温計
      2. ⚖️ ペット用体重計
      3. 💊 ピルケース(薬管理)
    1. 🩺 気になる症状があれば、すぐに獣医師に相談を
    2. 📚 参考文献・出典

犬の甲状腺機能低下症とは?

愛犬の元気がなくなった、最近太りやすくなった、毛がパサついてきた…。そんな症状が気になっていませんか?それは甲状腺機能低下症のサインかもしれません。

甲状腺機能低下症は、中高齢の犬に多く見られる内分泌疾患で、甲状腺から分泌されるホルモンが不足することで、全身の代謝機能が低下する病気です。特に4〜10歳のゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、ビーグル、ダックスフンドなどの犬種で発症率が高いとされています。

この記事では、甲状腺機能低下症の症状、診断方法、ホルモン補充療法による治療、定期検査の重要性について、獣医師監修のもと詳しく解説します。早期発見・早期治療により、愛犬の生活の質を維持できる病気ですので、気になる症状がある方はぜひ最後までお読みください。

📌 この記事のポイント

  • 甲状腺機能低下症の代表的な症状と診断方法
  • レボチロキシンを用いたホルモン補充療法の詳細
  • 定期的な血液検査とモニタリングの重要性
  • 食事管理と日常生活での注意点
  • 治療の予後と長期的なケア

甲状腺の役割と機能低下のメカニズム

甲状腺は首の前面に位置する小さな内分泌腺で、甲状腺ホルモン(T4、T3)を分泌しています。このホルモンは、全身の細胞の代謝をコントロールする重要な役割を担っており、エネルギー産生、体温調節、成長、被毛の健康維持など、多岐にわたる生理機能に関与しています。

🧬 甲状腺ホルモンの主な働き

  • 基礎代謝の調節: 全身のエネルギー代謝をコントロール
  • 体温維持: 体温を適切に保つ
  • 心臓・循環機能: 心拍数や血液循環の調節
  • 皮膚・被毛の健康: 皮膚のターンオーバーと被毛の成長
  • 脳・神経機能: 神経伝達物質の合成と神経活動のサポート
  • 消化機能: 消化管の蠕動運動の調節

⚠️ 甲状腺機能低下症の発症メカニズム

犬の甲状腺機能低下症の約95%は原発性(一次性)で、甲状腺そのものが破壊されることで発症します。主な原因は以下の2つです。

  • リンパ球性甲状腺炎(自己免疫性甲状腺炎): 免疫システムが自分の甲状腺を攻撃してしまう自己免疫疾患。最も多い原因で、遺伝的要因が関与していると考えられています。
  • 特発性甲状腺萎縮: 原因不明で甲状腺組織が脂肪組織に置き換わり、機能が失われていく状態。

まれに、脳下垂体や視床下部の異常による二次性(続発性)の甲状腺機能低下症もありますが、犬では非常にまれです。

甲状腺機能低下症の症状|気づきにくい初期サイン

甲状腺機能低下症は、症状がゆっくりと進行するため、飼い主さんが気づきにくいことが特徴です。「年齢のせいかな?」と見過ごされがちな症状も、実は甲状腺ホルモン不足が原因かもしれません。

✅ 甲状腺機能低下症の症状チェックリスト

以下の症状に複数当てはまる場合は、動物病院での検査をおすすめします。

  • ✓ 散歩に行きたがらない、動きたがらない(活動性の低下)
  • ✓ 元気がない、寝ていることが多い(無気力・嗜眠)
  • ✓ 食欲は変わらないのに体重が増えた(肥満傾向)
  • ✓ 毛がパサついてきた、抜け毛が増えた(脱毛)
  • ✓ 尾の毛が薄くなってきた(ラットテール)
  • ✓ 寒がるようになった、暖かい場所を好む(低体温)
  • ✓ 顔が腫れぼったく見える(粘液水腫)
  • ✓ 悲しそうな表情をする(悲観的顔貌)
  • ✓ 皮膚が乾燥している、フケが多い(皮膚の乾燥)
  • ✓ 皮膚が黒ずんできた(色素沈着)
  • ✓ 耳の感染症を繰り返す(外耳炎)
  • ✓ 心拍数が遅い(徐脈)
  • ✓ 便秘がちになった
  • ✓ 神経症状(まれに、ふらつき、顔面神経麻痺など)

🔍 特徴的な症状の詳細

1. 活動性の低下と無気力

最も多く見られる症状で、散歩に行きたがらない、階段を登りたがらない、寝ていることが多くなるなど、明らかに活動量が減少します。飼い主さんは「年齢のせいかな?」と思いがちですが、甲状腺ホルモン不足が原因の場合もあります。

2. 脱毛と被毛の変化

毛がパサつく、毛艶がなくなる、左右対称に脱毛する(特に体幹部)、尾の毛が薄くなる(ラットテール)などが見られます。毛が伸びてこない、トリミング後の被毛の回復が遅いといった症状も特徴的です。

3. 肥満傾向

基礎代謝が低下するため、食事量が変わらないのに体重が増加します。ダイエットをしてもなかなか痩せないこともあります。

4. 粘液水腫と悲観的顔貌

顔や首周りに粘液水腫(ムコ多糖類の蓄積)が起こり、顔が腫れぼったく見えたり、悲しそうな表情(悲観的顔貌)になったりします。まぶたが垂れ下がる、表情が乏しくなるなどの変化が見られることもあります。

5. 皮膚の変化

皮膚が乾燥してフケが多くなる、黒ずんでくる(色素沈着)、膿皮症や外耳炎などの二次感染を繰り返すなどの症状が見られます。

⚠️ 見逃されやすい症状

甲状腺機能低下症は「老化現象」と混同されやすいため、見逃されることが多い病気です。特に中高齢犬で「最近動きが鈍くなった」「毛艶が悪くなった」と感じたら、一度動物病院で血液検査を受けることをおすすめします。

診断方法|血液検査と甲状腺ホルモン測定

甲状腺機能低下症の診断は、臨床症状の観察血液検査による甲状腺ホルモン濃度の測定を組み合わせて行います。

🩸 診断の流れ

1. 問診と身体検査

獣医師が愛犬の病歴を詳しく聞き取り、身体検査を行います。上記の症状に複数当てはまる場合、甲状腺機能低下症を疑います。

2. 血液検査(一般血液検査)

甲状腺機能低下症では、以下のような異常が見られることがあります。

  • 貧血: 軽度〜中等度の非再生性貧血
  • 高コレステロール血症(高脂血症): 総コレステロール、中性脂肪の上昇
  • 肝酵素の上昇: ALT、ALP、γ-GTPなどの軽度上昇

3. 甲状腺ホルモン検査

甲状腺機能を評価するため、以下の項目を測定します。

  • 総T4(総サイロキシン): 甲状腺ホルモンの主要な形態。低下している場合、甲状腺機能低下症を疑う。
  • 遊離T4(FT4): 生理活性を持つT4。より正確な診断に用いる。
  • TSH(甲状腺刺激ホルモン): 脳下垂体から分泌されるホルモン。原発性甲状腺機能低下症では上昇する。

診断基準: T4またはFT4が低下し、TSHが上昇している場合、原発性甲状腺機能低下症と診断されます。

4. サイログロブリン自己抗体(TgAA)検査

自己免疫性甲状腺炎を診断するための検査。陽性の場合、リンパ球性甲状腺炎が疑われます。

🔬 診断の注意点

甲状腺ホルモンは他の疾患や投薬の影響を受けやすく、「ユーサイロイドシック症候群」といって、甲状腺以外の病気でも一時的にT4が低下することがあります。そのため、臨床症状と併せて総合的に診断することが重要です。

ホルモン補充療法|レボチロキシンによる治療

甲状腺機能低下症の治療は、不足している甲状腺ホルモンを薬で補充する「ホルモン補充療法」が基本です。生涯にわたって投薬が必要ですが、適切に治療を行えば、ほとんどの症状は改善し、正常な生活を送ることができます。

💊 レボチロキシンナトリウム製剤

治療には、合成甲状腺ホルモンであるレボチロキシンナトリウム(L-サイロキシン)を用います。日本では以下の製剤が動物用医薬品として承認されています。

  • フォーサイロン錠 200μg / 400μg(共立製薬): 錠剤タイプ。体重に応じて錠剤を割って投与。
  • レベンタ液: 液状製剤。犬の体重に合わせて正確に投与でき、特に小型犬や投薬が難しい犬におすすめ。

📅 投薬方法と用量

  • 標準用量: 体重1kgあたり10〜30μgのレボチロキシンを、1日2回経口投与
  • 投薬タイミング: 毎日決まった時間に投与することが重要。一般的に朝夕の食事前または食後に投与
  • 用量調整: 犬ごとに必要な用量が異なるため、定期的な血液検査で甲状腺ホルモン濃度をモニタリングし、用量を調整
🚨 投薬の注意点

  • 毎日決まった時間に投薬し、飲み忘れを防ぐ
  • 用量を自己判断で増減しない(必ず獣医師の指示に従う)
  • 投薬後に嘔吐した場合、追加投与せずに次回から通常通り投与
  • 他の薬(特に心臓病の薬、抗てんかん薬など)と併用する場合は獣医師に相談

📈 治療効果の現れ方

治療を開始すると、症状に応じて以下のような改善が見られます。

  • 活動性の改善: 1〜2週間程度で元気が戻る
  • 高脂血症の改善: 1〜2ヶ月程度で血液検査の数値が改善
  • 粘液水腫・神経症状の改善: 約1ヶ月程度
  • 脱毛の改善: 約4ヶ月程度で被毛が回復(最も時間がかかる)

標準的な治療で改善しない場合は、用量の調整、他の疾患の合併、薬の吸収不良などを疑い、再評価が必要です。

定期検査とモニタリングの重要性

甲状腺機能低下症の治療では、定期的な血液検査によるホルモン濃度のモニタリングが不可欠です。過剰なホルモン補充は副作用を引き起こす可能性があり、不足すれば症状が改善しません。

📊 モニタリングスケジュール

時期 検査内容 頻度
治療開始後1〜2週間 臨床症状の観察、副作用のチェック 初回フォローアップ
治療開始後4〜6週間 T4またはFT4、TSHの測定、一般血液検査 用量調整のための重要な検査
治療開始後3ヶ月 T4またはFT4、TSHの測定、一般血液検査 用量が安定しているか確認
治療開始後6ヶ月 T4またはFT4、TSHの測定、一般血液検査 長期安定を確認
その後 T4またはFT4の測定、一般血液検査 6ヶ月〜1年ごと

⚖️ 適正なホルモン濃度の目安

  • T4濃度: 投薬後4〜6時間の血液検査で、正常範囲の中央値〜やや高値が理想
  • TSH濃度: 正常範囲内に維持

検査タイミングは、投薬後4〜6時間後が推奨されます(ピーク濃度を測定するため)。

⚠️ 過剰投与のリスク

レボチロキシンを過剰に投与すると、甲状腺機能亢進症と同様の症状(多飲多尿、頻脈、興奮、体重減少など)が現れることがあります。定期検査で早期に発見し、用量を減らすことで改善します。

食事管理と生活習慣の工夫

ホルモン補充療法に加えて、食事管理と生活習慣の改善も甲状腺機能低下症の犬の健康維持に重要です。

🍽️ 食事管理のポイント

1. 低脂肪・低カロリー食

甲状腺機能低下症の犬は、高脂血症や肥満のリスクが高いため、低脂肪・低カロリーの食事が推奨されます。獣医師と相談の上、以下のような食事を選びましょう。

  • シニア犬用フード(低カロリー設計)
  • 体重管理用療法食(獣医師処方)
  • 高消化性タンパク質を含むフード

2. ヨウ素の適切な摂取

甲状腺ホルモンの生成にはヨウ素が必要ですが、過剰摂取は逆効果です。総合栄養食であれば適切な量が含まれているため、サプリメントでの追加補充は獣医師の指示がない限り不要です。

3. 食事回数と量の管理

1日2回に分けて食事を与え、体重を定期的に測定して適正体重を維持しましょう。おやつは控えめに。

🏃 運動と日常生活

  • 適度な運動: 治療開始後、元気が戻ってきたら、無理のない範囲で散歩やボール遊びなどの運動を取り入れましょう。肥満予防にも効果的です。
  • 寒さ対策: 甲状腺機能低下症の犬は体温調節がうまくできず寒がりになります。冬は毛布やヒーター、洋服などで保温しましょう。
  • 皮膚・被毛ケア: 定期的なブラッシングで皮膚の血行を促進。シャンプーは低刺激のものを選び、頻度は月1〜2回程度に。
  • ストレス軽減: 静かで落ち着いた環境を提供し、ストレスを減らすことも大切です。

予後と長期的なケア

甲状腺機能低下症は、適切なホルモン補充療法を継続すれば、予後は良好です。ほとんどの犬が正常な生活を送ることができ、寿命にも大きな影響はありません。

✅ 長期的なケアのポイント

  • 生涯にわたる投薬: 甲状腺機能低下症は完治しないため、生涯にわたって毎日の投薬が必要
  • 定期的な検査: 6ヶ月〜1年ごとに血液検査を受け、ホルモン濃度を確認
  • 体重管理: 肥満にならないよう、食事と運動を管理
  • 他の疾患の早期発見: 甲状腺機能低下症の犬は、心臓病や関節疾患などを併発することがあるため、定期健診を欠かさない
💡 治療継続のコツ

毎日の投薬を忘れないよう、スマートフォンのリマインダー機能を活用したり、薬カレンダーを使ったりすると便利です。また、ペット保険に加入している場合、慢性疾患の治療費がカバーされることがあるため、保険内容を確認しておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 甲状腺機能低下症は完治しますか?

残念ながら、甲状腺機能低下症は完治しない病気です。しかし、ホルモン補充療法により症状を改善し、正常な生活を送ることができます。生涯にわたって投薬を継続する必要があります。

Q2. 薬を飲み忘れたらどうすればいいですか?

1回程度の飲み忘れなら、気づいた時点ですぐに投与してください。ただし、次の投薬時間が近い場合は1回飛ばし、次回から通常通り投与します。2回分をまとめて投与しないでください。頻繁に飲み忘れる場合は、獣医師に相談しましょう。

Q3. 治療費はどのくらいかかりますか?

治療費は犬の体重や病院により異なりますが、目安は以下の通りです。

  • 初回診断(血液検査含む): 10,000〜20,000円
  • 月々の薬代: 2,000〜5,000円(体重により変動)
  • 定期検査(血液検査): 5,000〜10,000円(3〜6ヶ月ごと)

年間で50,000〜100,000円程度が目安です。ペット保険に加入していれば、一部がカバーされる場合があります。

Q4. 他の病気と併発することはありますか?

甲状腺機能低下症は、他の内分泌疾患(副腎皮質機能低下症、糖尿病など)や心臓病、関節疾患などと併発することがあります。定期的な健康診断で早期発見・早期治療を心がけましょう。

Q5. サプリメントは効果がありますか?

甲状腺機能低下症の治療には、レボチロキシンによるホルモン補充が必須です。サプリメントだけでは治療効果はありません。ただし、全身の健康維持のために、獣医師の指導のもとでビタミン・ミネラルサプリメントを併用することは有益です。

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🛒 購入時の注意

Amazonの価格・在庫状況は随時変動します。レビューを参考に、愛犬のサイズや状態に合った商品を選びましょう。

🩺 気になる症状があれば、すぐに獣医師に相談を

愛犬に元気がない、太りやすくなった、毛が抜けるなどの症状がある場合は、甲状腺機能低下症の可能性があります。早期発見・早期治療により、愛犬の生活の質を維持できます。

気になる症状がある方は、動物病院で血液検査を受けることをおすすめします。定期的な健康診断も忘れずに。

※ 本記事の情報は2026年1月時点のものです。愛犬の健康状態や治療方針については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

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