この記事でわかること
- 犬の膵炎の初期症状と見逃してはいけないサイン
- 急性膵炎と慢性膵炎の違いと診断方法
- 膵炎治療における低脂肪食の重要性
- 再発を防ぐための食事管理と生活習慣
- おすすめの療法食と選び方
犬の膵炎とは?
犬の膵炎(すいえん)とは、膵臓に炎症が起きる病気です。膵臓は消化酵素やインスリンを分泌する重要な臓器で、この機能が障害されると命に関わることもあります。
膵炎には急性膵炎と慢性膵炎があり、それぞれ症状や治療法が異なります。ウィズ動物病院によると、急性膵炎は突然発症して重篤化しやすく、早期治療が重要です。
急性膵炎と慢性膵炎の違い
| 項目 | 急性膵炎 | 慢性膵炎 |
|---|---|---|
| 発症 | 突然発症、急激に悪化 | ゆっくり進行、長期間持続 |
| 主な症状 | 激しい嘔吐・腹痛・元気消失・食欲不振・下痢 | 軽度の食欲不振・嘔吐・消化不良・体重減少 |
| 緊急性 | 高い(数日で重症化することも) | 低〜中程度(長期管理が必要) |
| 治療 | 入院・輸液・絶食・投薬 | 食事療法・定期的な通院・投薬 |
| 予後 | 早期治療で改善可能、重症例は命に関わる | 完治は難しく、再発リスクが高い |
膵炎の初期症状チェックリスト
膵炎は初期症状が分かりにくいため、気づいたときには進行していることが多い病気です。以下のサインが見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
⚠️ 膵炎を疑うべき症状チェックリスト
- ☑ 突然の食欲不振:大好きなご飯やおやつも食べない
- ☑ 繰り返す嘔吐:何度も吐く、泡や黄色い液を吐く
- ☑ 強い腹痛:お腹を触ると嫌がる、痛がって鳴く
- ☑ 「祈りのポーズ」:前足を伸ばして胸を床につけ、お尻だけ上げる姿勢(スフィンクスポーズ)
- ☑ 元気消失:ぐったりしている、ずっと寝ている
- ☑ 下痢:泥状のうんち、透明のゼリーのような粘液が混じる
- ☑ 震え・呼吸が浅く速い:痛みによるストレス反応
- ☑ 背中を丸めてうずくまる:腹痛を和らげようとする姿勢
国分寺ハート動物病院によると、膵炎の初期では軽い腹痛だけのこともあり、気づかずに重症化するケースも少なくありません。
膵炎の診断方法と検査
膵炎の診断には、症状だけでは不十分であり、複数の検査を組み合わせて総合的に判断します。
① 問診と身体検査
獣医師が症状の経過や食事内容、最近の出来事(高脂肪食を食べた、ストレスなど)を確認し、お腹を触診して痛みや腫れがないかチェックします。
② 血液検査
血液検査で確認する項目
- 犬膵特異的リパーゼ(Spec cPL):膵炎の特異的マーカー。最も信頼性が高い
- アミラーゼ・リパーゼ:膵酵素の上昇を確認
- 炎症マーカー(CRP・白血球):炎症の程度を評価
- 肝機能・腎機能:合併症の有無を確認
森田動物医療センターによると、Spec cPLは膵炎の診断精度が高く、早期発見に役立ちます。
③ 超音波検査(エコー)
膵臓の腫れや炎症の有無を画像で確認します。健康な犬の膵臓はエコーではっきり見えませんが、炎症があると腫れてはっきり描出されるようになります。
④ X線検査
腹部全体の状態を確認し、腹膜炎や他の臓器の異常がないかチェックします。
急性膵炎の治療
急性膵炎は緊急性が高く、入院治療が必要になることが多い病気です。
治療の基本方針
急性膵炎の主な治療法
- 絶食・絶水:膵臓を休ませるため、24〜48時間は何も与えない
- 輸液療法:点滴で水分補給・栄養補給、脱水の改善
- 制吐剤・鎮痛剤:嘔吐を止め、痛みを和らげる
- 抗生剤:細菌感染がある場合に投与
- 栄養チューブ:長期絶食が必要な場合、鼻や胃にチューブを入れて栄養補給
るあな動物病院によると、軽度の膵炎では適切な治療で多くの場合完全に回復しますが、重症例では集中治療が必要です。
回復期の食事再開
症状が落ち着いたら、少量ずつ低脂肪食を再開します。一気に通常食に戻すと再発リスクが高まるため、段階的に慣らしていくことが大切です。
慢性膵炎の長期管理
慢性膵炎は完治が難しく、生涯にわたる管理が必要な病気です。定期的な通院と食事療法の継続が欠かせません。
慢性膵炎の管理ポイント
- 定期的な血液検査:3〜6ヶ月ごとに膵臓の数値をチェック
- 低脂肪食の継続:一生涯、低脂肪フードを与え続ける
- 体重管理:肥満は膵炎のリスクを高めるため適正体重を維持
- ストレス管理:ストレスは膵炎を悪化させる要因になる
- 他の病気の管理:糖尿病や高脂血症などの合併症に注意
食事療法の重要性
膵炎の治療において、食事療法は最も重要な管理方法です。特に、低脂肪食は膵臓への負担を減らし、再発を防ぐ鍵となります。
なぜ低脂肪食が必要なのか?
低脂肪食が重要な理由
- 膵臓の負担軽減:脂肪の消化には膵臓から大量の消化酵素が必要。脂肪を減らすことで膵臓を休ませられる
- 炎症の悪化を防ぐ:高脂肪食は膵臓の炎症を悪化させる
- 高脂血症の予防:膵炎の犬は高脂血症を併発しやすい
- 再発リスクの低減:低脂肪食の継続で再発率が大幅に下がる
POCHIによると、膵炎の犬には脂肪含有量10%以下のフードが推奨されます。
低脂肪食の選び方
| ポイント | 推奨基準 |
|---|---|
| 脂肪含有量 | 10%以下(乾物量ベース) |
| タンパク質 | 高消化性タンパク質(鶏肉・ターキー・白身魚など) |
| 炭水化物 | 低糖質で消化しやすいもの(米・じゃがいもなど) |
| 食物繊維 | 適度な量で腸内環境をサポート |
| 添加物 | 無添加または最小限 |
おすすめの膵炎対応療法食
膵炎の犬には、獣医師の指導のもと療法食を使用することが推奨されます。以下は代表的な療法食です。
① POCHI 食事療法食 消化器ケア 低脂肪
脂質を約50%カットしつつ、おいしさを追求した療法食。低脂肪で消化に優れ、膵炎・胆泥症に対応。
② VetsWell 消化器ケア 低脂肪
犬の消化器疾患に配慮し、腸内健康維持のために特別に調製された食事療法食。
③ HAPPY DOG VET インテスティナル
消化器ケアに特化したドイツ製療法食。低脂肪で消化しやすい設計。
再発防止のための生活管理
膵炎は再発しやすい病気です。国分寺ハート動物病院によると、以下の点に注意することで再発リスクを減らせます。
食事管理のポイント
✓ 食事管理で守るべきルール
- ✓ 高脂肪食や人間の食べ物を与えない:唐揚げ・ソーセージ・チーズ・ケーキなど厳禁
- ✓ 療法食を継続する:一度膵炎になったら生涯低脂肪食
- ✓ おやつは低脂肪・少量に:ささみ・野菜など脂肪の少ないもの
- ✓ 急なフード変更を避ける:切り替えは1週間かけて徐々に
- ✓ 食事回数を分ける:1日2〜3回に分けて少量ずつ与える
生活習慣のポイント
- 体重管理:肥満は膵炎のリスクを高める。適正体重を維持
- 適度な運動:無理のない範囲で毎日散歩
- ストレス軽減:引っ越しや環境変化は極力避ける
- 定期検診:3〜6ヶ月ごとに血液検査
膵炎になりやすい犬種と予防法
特定の犬種は膵炎になりやすい傾向があります。
膵炎リスクが高い犬種
膵炎になりやすい犬種
- ミニチュアシュナウザー
- ヨークシャーテリア
- コッカースパニエル
- ミニチュアプードル
- ダックスフンド
- ボクサー
これらの犬種は遺伝的に膵炎のリスクが高いとされています。
予防のために今日からできること
- 低脂肪食を心がける:普段から脂肪の少ないフードを選ぶ
- 人間の食べ物を与えない:どんなに欲しがっても我慢
- 適正体重を維持:肥満は万病のもと
- 定期検診を受ける:年1回の健康診断で早期発見
- ストレス管理:安心できる環境を整える
よくある質問(FAQ)
まとめ
犬の膵炎管理で大切なポイント
- 早期発見が鍵:嘔吐・腹痛・「祈りのポーズ」が見られたらすぐ受診
- 低脂肪食の継続:脂肪10%以下の療法食を生涯続ける
- 人間の食べ物は厳禁:高脂肪食が再発の最大原因
- 体重管理を徹底:肥満は膵炎リスクを高める
- 定期検診を欠かさない:3〜6ヶ月ごとの血液検査で再発を防ぐ
- 獣医師の指導を守る:療法食の選択や治療方針は必ず相談
膵炎は命に関わる病気ですが、適切な管理により愛犬は元気に過ごすことができます。日頃から愛犬の様子をよく観察し、少しでも異変を感じたら早めに動物病院を受診しましょう。
専門家への相談が最優先
この記事は一般的な情報提供を目的としています。膵炎の診断・治療・食事療法については、必ず獣医師の指導を受けてください。愛犬の状態に合わせた個別の管理計画が重要です。
📚 参考文献・出典
- よしだ動物病院 – 犬・猫の膵炎とは?症状から治療まで解説
- ウィズ動物病院 – 犬と猫の膵炎 症状と原因、治療方法
- 国分寺ハート動物病院 – 犬の膵炎の症状と診断の流れ
- 西調布犬猫クリニック – 犬の急性膵炎の原因と症状、治療法
- 姉ヶ崎動物病院 – 犬の膵炎|原因・症状・食事管理
- アニコム損保 – 何度も吐く、お腹が痛そうなのは膵炎の可能性
- るあな動物病院 – 犬の急性膵炎の重症度評価と治療
- POCHI – 膵炎と診断されたらドッグフードはどうする?低脂肪フード選び
- るあな動物病院 – 犬の膵炎は再発しやすい?予防のための食事と生活管理
- 国分寺ハート動物病院 – 犬の膵炎の治療と再発を防ぐ生活管理
- 森田動物医療センター – 突然の嘔吐や腹痛はサインかも?犬の膵炎の原因や治療
- HS動物病院 – 見逃すと命に関わることも!犬や猫の急性膵炎と慢性膵炎
- ドッグフード・ラボ – 犬の膵炎 治療と食事
- Amazon – POCHI 食事療法食 消化器ケア 低脂肪
- Amazon – VetsWell 犬用食事療法食 消化器ケア低脂肪
※ この記事は2026年2月時点の情報に基づいています。最新の獣医学の進歩により、推奨される治療法が変わる可能性があります。
※ 療法食や医薬品の使用については、必ず獣医師の診断・指導に従ってください。
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