「犬を迎えるなら子犬から」——そう思い込んでいませんか。実は保護犬シェルターに収容されている犬のほとんどは成犬で、性格やサイズがすでに定まった状態から家族に迎えられるという、子犬にはない安心感があります。この記事では成犬を迎えるメリット・デメリット、新しい環境に慣れるまでの具体的なプロセス、子犬との比較、そして迎え入れ前に揃えておきたい準備まで、成犬から犬を迎えることを検討している方に向けて実践的にまとめました。

成犬を迎えるという選択、知っていますか?
動物愛護センターや保護団体に収容されている犬の多くは、飼い主の高齢化や引っ越し、経済的事情などやむを得ない理由で手放された成犬です。子犬の可愛らしさに惹かれる気持ちは自然なことですが、成犬にはすでに性格や体格が完成しているという、子犬にはない大きな利点があります。まずは成犬を迎えるという選択肢がどんなものか、具体的に見ていきましょう。
成犬を迎える5つのメリット
- 体格・毛量・性格がすでに完成しているため、迎えた後に「思っていたより大きくなった」というギャップが起きにくい
- 子犬期特有の甘噛みやトイレの失敗、深夜の要求鳴きといった手のかかる時期をすでに終えている個体が多い
- 穏やかで落ち着いた性格の子を見極めて選べるため、犬を飼うのが初めての方や仕事で留守にしがちな方でも生活に取り入れやすい
- 保護団体経由であれば、これまでの生活環境や苦手なもの(雷、来客、他の動物など)を事前に把握した上で迎えられることが多い
- 行き場を失った命を新しい家族として迎えることで、殺処分数の削減という社会的な意義にもつながる
成犬を迎える際に知っておきたい注意点
良いことばかりではありません。成犬、とくに保護犬を迎える場合は、その犬が歩んできた過去も一緒に受け入れることになります。以下の点は事前に理解しておきましょう。
- 過去に虐待やネグレクトを経験している場合、人や物音に対して強い警戒心や恐怖心を示すことがある
- これまでの飼育環境によっては、トイレのしつけや基本的な社会化がされていないケースもある
- 子犬期からの成長を見守る楽しみは味わえない
- すでに何らかの持病やシニア期に近い年齢を抱えている個体もあり、医療費が早期から必要になる可能性がある
- 先住犬や小さな子どもがいる家庭では、相性を慎重に見極める必要がある
こうした特性は正しい知識と準備があれば十分に乗り越えられるものがほとんどです。次の章では、実際に新しい環境へ慣れていくまでのプロセスを解説します。

新しい環境に慣れるまでの期間|3-3-3の法則
保護犬の世界でよく知られているのが「3-3-3の法則」という考え方です。犬が新しい家に慣れていくプロセスを3つの段階に分けて捉えることで、飼い主が焦らず適切に接することができます。
| 期間 | 犬の状態 | 飼い主の心構え |
|---|---|---|
| 最初の3日間 | 緊張・警戒がピークの適応期。食欲不振や隠れる行動が出やすい | 無理に構わず、狭く安心できるスペースを用意して見守る |
| 続く3週間 | 生活リズムに慣れ始め、少しずつ本来の性格が見え始める | 食事・散歩・就寝の時間を一定にし、ルールを一貫して教える |
| 3ヶ月ほど | 家を自分の居場所と認識し、飼い主への信頼関係が築かれる | できたことを褒め、焦らず信頼の積み重ねを続ける |
一般的には2週間〜3ヶ月ほどで新しい環境に落ち着くとされていますが、犬の性格や過去の経験によって個体差が大きい点も覚えておきましょう。
迎え入れ初日〜1週間の慣らし方【具体的手順】
- 迎え入れる前に、クレートやベッド、トイレ、食器などの居場所をあらかじめ決めて静かな環境を整えておく
- 初日は歓迎会のように大人数で囲んだり過度に触ったりせず、犬から近づいてくるまで距離を保つ
- これまで食べていたフードと同じものを用意し、環境の変化と食事の変化を同時に起こさないようにする
- トイレのタイミングをこまめに誘導し、成功したらすぐに落ち着いた声で褒める
- 体を執拗に舐める、下痢、食欲不振などのストレスサインが見られたら、刺激を減らして静養させる
- 来客や他のペットとの対面は、犬が食事や排泄を落ち着いてできるようになってから段階的に行う
- 1週間を目安に決まった散歩コースを作り、生活リズムを一定にして安心感を積み重ねる

子犬と成犬、どちらが自分に合う?比較表
| 項目 | 子犬 | 成犬 |
|---|---|---|
| サイズ・性格の予測 | 成長するまで確定しない | すでに確定しているため選びやすい |
| しつけの手間 | トイレ・甘噛みなど一から教える必要がある | 個体差はあるが基本ができている場合が多い |
| 運動量・体力 | 非常に高く目が離せない時期が続く | 個体・犬種により落ち着いている傾向 |
| 留守番のしやすさ | 短時間から慣らす必要がある | 経験がある子は比較的落ち着いて待てる |
| 成長を見守る楽しみ | 大きな魅力のひとつ | 味わえないが、性格の変化を見届ける楽しみがある |
こんな人には成犬がおすすめ|チェックリスト
- 犬を飼うのが初めてで、しつけに自信がない
- フルタイムで働いており、子犬期の手厚いお世話が難しい
- マンションなど、体格や吠え癖をあらかじめ把握してから迎えたい住環境である
- 穏やかで落ち着いた性格の犬と静かに暮らしたい
- 行き場のない命を家族に迎えることに意義を感じる
里親になるまでの流れ|条件・審査・トライアル期間
保護団体や動物愛護センターから成犬を迎える場合、一般的には以下のような流れで進みます。団体によって細かな条件は異なるため、事前に必ず確認しましょう。
- 里親募集情報を確認し、気になる犬との面会(マッチング)を申し込む
- 飼育環境や家族構成を記載した申請書を提出する
- スタッフによる自宅訪問で、飼育スペースや安全対策を確認してもらう
- 団体が実施する講習会を受講する
- 数週間〜1ヶ月ほどのトライアル期間で実際に自宅で一緒に生活する
- トライアル後の自宅訪問・面談を経て、正式に譲渡が成立する
先住のペットがいる場合は避妊・去勢が済んでいることを条件とする団体が多く、高齢者のみの世帯では譲渡を見送られるケースもあります。焦らず団体の担当者とよく相談することが大切です。

成犬を迎える前に揃えたいグッズ3選
折りたたみ式ハードクレート(Mサイズ)
新しい環境で犬が「安心して閉じこもれる自分だけの空間」を作るための必需品です。組み立てが簡単な折りたたみタイプなら、来客時や車での移動時にも対応でき、迎え入れ初日から活躍します。
どんな人向けか:ハウストレーニングをこれから始めたい方、来客や在宅ワークで犬を落ち着かせたい方
参考価格:6,000円〜15,000円程度(サイズ・素材により変動)
洗える低反発ドッグベッド
「馴染みのある寝床」は成犬が安心するための重要な要素です。カバーが丸洗いできるタイプなら、におい移りや汚れが気になる保護犬の受け入れ時にも衛生的に使い続けられます。
どんな人向けか:関節に負担をかけたくないシニア寄りの成犬を迎える方、におい対策を重視したい方
参考価格:3,000円〜8,000円程度(サイズにより変動)
ペット保険(成犬・シニア寄り対応プラン)
成犬は子犬に比べて既往症や年齢的なリスクを抱えていることがあり、迎えた直後の健康診断や通院費に備えておくと安心です。加入できる年齢の上限や持病の告知条件は保険会社ごとに異なるため、複数社を比較検討しましょう。
どんな人向けか:年齢や既往歴が分からない状態で保護犬を迎える方、医療費の急な出費に備えたい方
参考価格:月額2,000円〜5,000円程度(補償内容・年齢により変動)
よくある質問
Q. 成犬でもしつけ直しはできますか?
A. 犬は年齢に関わらず新しいことを学べます。子犬期ほど早くはいかなくても、根気強く一貫したルールで接すれば、トイレや基本的なコマンドは十分に身につけられます。
Q. 先住犬がいても成犬を迎えられますか?
A. 可能ですが、対面は中立的な場所で短時間から始め、双方の相性を見ながら段階的に距離を縮めることが推奨されます。保護団体によっては事前の顔合わせを必須としている場合もあります。
Q. 成犬を迎えた後、なつくまでどのくらいかかりますか?
A. 個体差が大きいですが、3-3-3の法則の目安として2週間〜3ヶ月ほどで落ち着くケースが多いとされています。焦らず犬のペースに合わせることが信頼関係を築く近道です。
まとめ
成犬を迎えるという選択は、子犬にはない「性格や体格を知った上で家族に迎えられる」という大きな安心感があります。一方で、過去の経験による警戒心やしつけの個体差といった注意点もあるため、3-3-3の法則を意識しながら焦らず慣らしていくことが何より大切です。この記事が、成犬という選択肢を前向きに検討するきっかけになれば幸いです。
参考文献
- 保護犬を飼うメリットは?迎え入れ方や必要な準備を解説|ペットニュースストレージ
- 保護犬を迎えるってどういうこと?条件や注意したいポイントを解説|ワンクォール
- 成犬を迎えるメリットと気をつけること|一般社団法人 盲導犬総合支援センター
- 保護犬をもらうにはどんな方法がある?受け入れの注意点など紹介|ピースワンコ・ジャパン
- 3-3-3ルールとは?保護犬を迎える際に知っておきたい心構え|Big Tree For Animals
- 個人への成犬譲渡について|茨城県
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の犬の健康状態・性格・行動については個体差が大きいため、必ずしもすべての犬に当てはまるものではありません。健康や行動に関して不安がある場合は、自己判断せず必ず獣医師や専門のドッグトレーナーにご相談ください。里親制度の条件・審査基準は団体ごとに異なりますので、詳細は各団体に直接お問い合わせください。
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