「妊娠したら、今まで通り犬と暮らしていいのかな」——多くの妊婦さんが一度は不安に感じるテーマです。結論から言うと、正しい知識と少しの工夫があれば、妊娠中も愛犬との暮らしを続けられるケースがほとんどです。この記事では、妊娠中に気をつけたい人獣共通感染症の実際のリスク、散歩やお世話の分担の仕方、出産入院・産後の預け先準備まで、順を追って整理します。
妊娠中に犬と暮らすときにまず知っておきたいこと
妊娠中の不安の多くは「感染症がうつるのでは」という点に集中しがちですが、実際には犬から妊婦への感染リスクは猫に比べて低いとされています。とはいえゼロではないため、正しい知識を持って過剰に怖がらず、できる対策をとることが大切です。

人獣共通感染症のリスクを正しく知る
トキソプラズマ症とは
トキソプラズマは犬や猫などの動物の排せつ物を介して感染する寄生虫です。妊娠中に初めて感染すると、胎盤を通じて赤ちゃんに感染し、まれに脳や目の障害につながる可能性があることが知られています。ただし主な感染源は猫の糞便や加熱不十分な肉であり、犬が直接の感染源になるケースは多くありません。
感染時期によってリスクの大きさが変わる
| 妊娠時期 | 胎児への感染率 | 症状の重さの傾向 |
|---|---|---|
| 妊娠初期 | 10%以下と低め | 感染すると重症化しやすい |
| 妊娠中期(15〜30週) | 約20%前後 | 中程度 |
| 妊娠後期 | 感染率は上がる傾向 | 比較的軽症で済むことが多い |
既に犬や猫を飼っていて長年一緒に暮らしてきた方の多くは、過去に軽度の感染を経験し抗体を持っている場合もあります。心配な場合は、妊婦健診の際に抗体検査について産婦人科医に相談してみましょう。

妊娠中にできる予防対策
- 排せつ物の処理は家族に任せるか、使い捨て手袋を使い、処理後は必ず石けんで手を洗う
- 犬に口移しで食べ物を与えたり、キスをしたりするのは控える
- ガーデニングをする場合も土に触れた後はしっかり手を洗う
- 犬用トイレやケージ周りは除菌シートやスプレーでこまめに清潔を保つ
- 肉は生食を避け、しっかり加熱したものを食べる(トキソプラズマは加熱不十分な肉からも感染する)
妊娠中の散歩・お世話はどう分担する?
お腹が大きくなってくると、犬に急に引っ張られて転倒するリスクや、長時間の立ち仕事による体への負担が心配になります。妊娠経過に問題がなければ軽い散歩自体は問題ないとされていますが、以下のポイントを意識すると安心です。
- 引っ張る力が強い犬は、パートナーや家族に散歩を交代してもらう時間帯を作る
- 雨の日や滑りやすい路面は無理をせず室内遊びに切り替える
- 妊娠後期は短時間・平坦なコースに絞り、坂道や人混みを避ける
- 気分が悪い、お腹が張るなど異変を感じたらすぐに切り上げる
「全部自分でやらなければ」と抱え込まず、家族内で役割分担を早めに決めておくことが、心身の負担を減らす一番のコツです。
出産入院・産後の預け先を早めに準備する
陣痛はいつ来るか分かりません。「入院中、家に犬の世話をできる人がいない」という状況を避けるため、出産予定日の1〜2か月前を目安に預け先の候補を決めておくと安心です。

- 実家や親戚に短期間預けられるか早めに相談しておく
- ペットホテルやペットシッターサービスを事前に見学・登録しておく
- 普段のフードや薬、生活リズムをメモにまとめて預け先に渡せるようにする
- 退院後しばらくは体力が戻らないため、産後1〜2週間分の預け先や散歩代行も候補に入れる
ペットシッターサービス
自宅で普段通りの環境のまま犬の世話を任せられるサービス。環境の変化に弱い犬や、留守番に不安がある家庭に向いています。
こんな人におすすめ:入院中も愛犬を自宅で過ごさせたい方
参考価格:1回あたり2,000円台〜(滞在時間による)
除菌・消臭スプレー(ペット用)
トイレ周りやケージ、床を安全に除菌できるペット用アイテム。妊娠中の衛生管理を手軽に底上げできます。
こんな人におすすめ:こまめな清潔管理を無理なく続けたい方
参考価格:1,000〜2,000円前後
ペットゲート
赤ちゃんのスペースと犬の生活動線を分けたいときに役立つアイテム。出産後の新生活に向けて先に設置しておくと落ち着いて過ごせます。
こんな人におすすめ:赤ちゃんスペースと犬の動線を分けたい方
参考価格:3,000〜8,000円前後
よくある質問
Q. 犬を飼っているだけでトキソプラズマに感染しますか?
A. 犬自体が直接の主要な感染源になるケースは多くありません。排せつ物の処理方法や手洗いなど基本的な衛生対策を守れば、過度に心配する必要はないとされています。心配な場合は産婦人科医に抗体検査について相談しましょう。
Q. 妊娠後期でも散歩は続けていいですか?
A. 医師から運動制限の指示が出ていなければ、短時間・平坦なコースでの散歩は問題ないとされることが多いです。引っ張られる不安がある場合は家族に交代してもらいましょう。
参考文献
- 妊娠中のペットとの関わりについて|西島産婦人科医院
- 妊娠中のペットとの暮らし【獣医師】トキソプラズマなど感染症について|manababy
- 妊娠中に猫と暮らすときの注意点は?「トキソプラズマ」のリスク|eversense
- 犬との暮らし|マザーズクリニック
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療方針を示すものではありません。妊娠中の健康や感染症に関する不安がある場合は、必ず産婦人科医や獣医師などの専門家にご相談ください。
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