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「ジャックラッセルテリアは初心者には無理って本当?」「ボーダーコリーの運動量についていけるか不安」と、迎える前に迷いますよね。ネットには「初心者に難しい犬種ランキング」もたくさんあります。
この記事では、犬種の優劣をつけるのではなく、「どんな条件がそろうと暮らしが難しくなるのか」を整理しました。運動量・賢さ・性格の3つの軸で、ご家庭との相性を見極める方法をご紹介します。
結論
「初心者には難しい犬種」という公的な定義はありません。約1万8千頭を調べた研究では、犬種で説明できる行動の個体差は約9%だったと報告されています。
ただし、犬種ごとの「傾向」はあります。運動量が多い、仕事を求める、警戒心が強い、獲物を追いかけやすいといった傾向が、家庭の生活と合わないときに「手に負えない」と感じやすくなります。
大切なのは、犬種名で決めるのではなく、「その犬が必要とするものを、毎日用意できるか」で見極めることです。
この記事でわかること
- 「犬種だけでは性格は決まらない」という研究結果
- 初心者に難しくなりやすい5つの条件
- ジャックラッセルテリア・ボーダーコリーなどが「難しい」と言われる理由
- 迎える前に使えるセルフ診断チェックリスト
- 「飼って後悔」を防ぐための考え方と相談先

初心者には難しい犬種は本当にある?犬種で説明できるのは約9%
2022年に科学誌『Science』に掲載された研究(Morrillら)があります。純血種とミックス犬あわせて18,385頭の飼い主アンケートと、2,155頭の遺伝子解析を組み合わせたものです。
この研究では、行動の特徴の多くに遺伝が関わる一方で、犬種で説明できる行動の個体差は約9%にとどまると報告されています。犬種らしい行動は、もともとの役割(牧羊・狩猟など)と「弱く一致する」程度だったとされています。この調査は飼い主のアンケート回答が中心で、9%は行動全体をならした数字です。項目によって犬種の影響の大きさは変わる可能性があります。
つまり、「この犬種だから必ず難しい」とは言えません。同じ犬種でも、おっとりした子もいれば、活発な子もいます。
とはいえ、9%は「犬種は関係ない」という意味でもありません。犬種には、作られた目的に由来する傾向があります。その傾向を知ったうえで、目の前の個体をよく見ることが現実的な見極め方です。
初心者に難しくなりやすい5つの条件
「難しい犬種」と言われる犬には、いくつかの共通する傾向があります。犬種名ではなく、次の5つの条件で考えてみてください。
| 条件 | 満たされないと起こりやすいこと | 家庭で確認したいこと |
|---|---|---|
| 運動量が多い | 吠え・穴掘りなどにつながることがある | 毎日の散歩・運動の時間を確保できるか |
| 仕事(作業)を求める | 散歩だけでは満たされにくい | 頭を使う遊びやトレーニングの時間があるか |
| 賢く、覚えが早い | 退屈すると困った行動を覚えやすい | しつけを継続して教えられるか |
| 警戒心が強い | 来客や知らない人に打ち解けにくい | 子犬期から社会化に取り組めるか |
| 獲物を追う本能が強い | 小動物や動くものを追いかけやすい | リード管理や脱走対策を徹底できるか |
どの条件も、それ自体は欠点ではありません。むしろ、その犬種の魅力でもあります。問題になるのは、家庭の生活リズムと犬が必要とするものがずれたときです。
運動量で見極める:英国の目安を参考に
犬種ごとの運動量の目安として、英国のケネルクラブ(The Royal Kennel Club)が1日の運動時間を公開しています。たとえば、次のような目安です。
- ジャック・ラッセル・テリア:1日1時間程度まで(原文は Up to 1 hour per day)
- パーソン・ラッセル・テリア:1日1時間程度まで(原文は Up to 1 hour per day)
- ボーダー・コリー:1日2時間以上
これはあくまで英国の目安です。年齢や体調、個体差で必要な量は変わります。日本の夏の暑さや都市部の環境に、そのまま当てはめないようにしてください。
ここで注目したいのは、運動時間の数字だけでは難しさは決まらないという点です。ジャック・ラッセル・テリアの目安は「1時間まで」ですが、活発さや獲物を追う傾向といった性格の傾向も、暮らしやすさに関わると言われています(次の章で解説します)。
ほかの犬種の目安は、犬種別 運動量ランキング【英国基準】にまとめています。

ジャックラッセルテリアが「手に負えない」と言われる理由
ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種紹介では、ジャック・ラッセル・テリアは「活発であり、機敏で活動的なテリアである」「大胆不敵」とされ、「友好的だが、沈着冷静」とも書かれています。もともとは穴に入り込む能力をもつ作業犬で、同時に「すぐれた家庭犬」とも紹介されています。
獣医系メディアのPetMDによると、運動が足りないと、吠え・穴掘り・不安といった形で表れることがあるそうです。また、狩猟に由来する「獲物を追いかける傾向」が強い個体もいると説明されています。
小型でも非常にエネルギーが大きい犬種とされています。「小さいから飼いやすそう」と思って迎えると、運動量に驚くことがあるかもしれません。「初心者には無理」と決めつける必要はありませんが、次のような準備ができるかを確認しておくと安心です。
- 毎日の散歩に加えて、遊びで発散させる時間をとれる
- 小動物や自転車などを追いかけないよう、リード管理を徹底できる
- 庭や室内で穴掘り・かじりが起きても、環境の工夫で対応できる
なお、ジャック・ラッセル・テリアとパーソン・ラッセル・テリアは、JKCでは別の犬種として扱われています。名前が似ているので、迎える前に確認しておきましょう。飼い方の詳細はジャックラッセルテリアの飼い方で解説しています。
ボーダーコリーの運動量は「無理」?必要なのは体力より時間
ボーダー・コリーは牧羊犬で、JKCでは「牧羊犬の中で最も作業能力が高いといわれる」と紹介されています。作業能力を重視して育てられてきた歴史がある犬種です。
米国ケネルクラブ(AKC)は、ボーダー・コリーには運動と知的な刺激の両方が必要だとしています。そのうえで、活動的で経験のある飼い主さんに向いており、時間を割けない人には向かないと説明しています。
「運動量が無理かも」と感じたら、体力よりも「毎日の時間」を基準に考えるのがおすすめです。英国の目安では1日2時間以上とされています。平日も休日も、この時間を家族の誰かが確保できるかを考えてみてください。
AKCは、ボーダー・コリーのほかにも、オーストラリアン・シェパードやベルジアン・マリノアなどを「仕事を求める犬種」として挙げています。こうした犬種は、散歩の長さだけでなく、頭を使う時間があるかどうかも大切です。詳しくはボーダーコリーの飼い方と運動要求をご覧ください。
賢さと警戒心:「賢い=飼いやすい」とは限らない
「賢い犬ならしつけも楽そう」と考える方も多いようです。ただ、賢さは良い習慣だけでなく、困った習慣も早く覚えることにつながります。
AKCは、ジャーマン・シェパード・ドッグを「仕事を必要とするエネルギッシュな犬」と紹介しています。毎日十分な身体的・知的な運動が必要で、退屈すると、過剰な吠え・穴掘り・強い噛み・追いかける行動が出やすいと説明されています。衝動をコントロールする練習が鍵になるとも述べています。
また、AKCの犬種標準では、ジャーマン・シェパード・ドッグの気質を、率直で恐れを知らないが敵対的ではない表情、自信、そして「誰とでもすぐ親しくなるわけではない、ある種のよそよそしさ」を備えたものとしています。一方で、人が近づいたときには落ち着いて応じられることも求められています。知らない人にすぐ打ち解けないのは、性格の傾向のひとつです。
こうした犬種と暮らすなら、子犬のうちから人や環境に慣らす「社会化」と、継続的なトレーニングの時間が欠かせません。ジャーマンシェパードの飼い方と特徴もあわせて参考にしてください。

迎える前のセルフ診断チェックリスト
気になる犬種があるときは、次の質問に家族で答えてみてください。「いいえ」が多い項目ほど、その犬種の傾向と生活がずれやすいポイントです。
- その犬種の運動量の目安を、平日も休日も毎日確保できますか
- 散歩以外に、遊びやトレーニングで頭を使わせる時間をとれますか
- 子犬期に、人・音・場所に慣らす社会化に取り組めますか
- 吠えや穴掘りが出たとき、叱るより環境や運動を見直せますか
- リードを離さない、脱走を防ぐなどの管理を家族全員で守れますか
- 困ったときに相談できる獣医師やトレーナーの当てがありますか
- 迎える予定の個体の性格を、ブリーダーや保護団体に確認しましたか
個体差の影響のほうが大きい、という研究結果を踏まえると、最後の項目は特に大切です。同じ犬種でも、落ち着いた子・活発な子がいるので、迎える子の様子を直接確認してみてください。
生活スタイルから犬種を考えたい方は、ライフスタイル別おすすめ犬種ガイドも参考になります。
「難しい」と言われる犬種が向いている家庭
運動量や作業欲求が多い犬種は、条件が合えば頼もしいパートナーになります。AKCの説明などを踏まえると、次のようなご家庭は相性が良い可能性があります。
- ランニングやアウトドアなど、体を動かすのが日常の家庭
- ドッグスポーツやトレーニングを、一緒に楽しみたい家庭
- 犬との暮らしの経験者が身近にいて、相談しながら進められる家庭
初めて犬を迎える方でも、こうした時間を楽しめるなら、選択肢から外す必要はありません。ただしAKCはボーダー・コリーを経験のある飼い主さん向きとしているため、経験者や専門家に相談できる環境を整えておくと安心です。反対に、経験者でも生活が忙しい時期なら、負担が大きくなることがあります。経験の有無より、今の暮らしで何を用意できるかが目安です。
「犬を飼って後悔」を防ぐために知っておきたいこと
環境省の統計によると、令和6年度に全国の自治体が引き取った犬は17,399頭でした。令和2年度の27,635頭から、年々減っています。
このうち、飼い主からの引取りは約2,215頭です。大半は所有者がわからない犬(迷い犬など)でした。
手放す理由はさまざまです。地球生物会議が平成25年度に行った全国の自治体アンケートをまとめたAWGsの記事では、犬を手放す理由として、件数の多い順に飼い主の病気・死亡、問題行動、転居が挙げられています(10年以上前の調査で、現在の状況とは異なる可能性があります)。米国の保護施設1か所の記録を分析した研究(犬と猫の合計)では、行動の問題(28%)と住まい・引越し(18%)が上位でした。国や施設によって傾向は異なります。
つまり、手放しの理由は犬の性格だけではありません。飼い主側の暮らしの変化も大きく関わっています。迎える前に、引越しや家族構成の変化、もしものときの預け先まで話し合っておくと安心です。
後悔につながりやすいポイントは犬を飼って後悔した理由TOP10に、家族で話し合う項目は犬を迎える前に家族全員でする10の会議にまとめています。

「手に負えない」と感じたときの相談先
すでに一緒に暮らしていて、吠えや噛みなどに困っている方もいるかもしれません。ひとりで抱え込まず、早めに専門家に相談してみてください。
- かかりつけの獣医師:痛みや体調不良が行動に影響している場合もあると言われているため、まずは相談を
- しつけインストラクター・トレーナー:運動や接し方の見直しを一緒に考えてもらえます
環境省が自治体職員向けに作成した資料(古い資料です)でも、吠えなどの問題行動で引取りを求められた場合は、しつけインストラクター等の専門家に相談してみたかを尋ねてみるよう助言されています。手放す前にできることがある、という考え方です。
噛みつきやうなりが強い、急に行動が変わったといった場合は、自己判断せず獣医師に相談しましょう。
よくある質問
Q. ジャックラッセルテリアは初心者には無理ですか?
A. 無理とは言い切れません。活発で獲物を追う傾向がある犬種なので、毎日の運動・遊びの時間とリード管理を用意できるかが目安です。個体差もあるため、迎える子の性格も確認してみてください。
Q. ボーダーコリーの運動量はどのくらいですか?
A. 英国ケネルクラブの目安では、1日2時間以上とされています。運動に加えて、頭を使う遊びやトレーニングも必要だと言われています。
Q. 初心者に飼いやすい犬種はどれですか?
A. 犬種で説明できる行動の差は約9%という研究があり、犬種だけで決めるのは難しいのが実情です。運動量・性格の傾向と、ご家庭の生活リズムが合うかで考えるのがおすすめです。
Q. ミックス犬なら性格は予想できませんか?
A. 純血種でもミックス犬でも、個体差は大きいとされています。迎える前に、保護団体やブリーダーに普段の様子を聞いておくと安心です。
まとめ
「初心者には難しい犬種」は、犬種そのものより、運動量・作業欲求・賢さ・警戒心・獲物を追う本能といった傾向が、暮らしと合わないときに生まれます。犬種で説明できる行動の差は約9%という研究もあり、個体差を見ることが欠かせません。
気になる犬種があるなら、セルフ診断チェックリストで「毎日用意できるもの」を家族で確認してみてください。困ったときは、獣医師やトレーナーに早めに相談しましょう。
参考文献
- PubMed Morrill K, et al. Ancestry-inclusive dog genomics challenges popular breed stereotypes (Science, 2022)
- Broad Institute Dog genetics suggest behavior is more than just breed
- The Royal Kennel Club Breeds A to Z
- ジャパンケネルクラブ ジャック・ラッセル・テリア
- ジャパンケネルクラブ ボーダー・コリー
- Parson Jack Russell Terrier Dog Breed Health and Care | PetMD
- AKC Is the Border Collie the Right Breed for Your Lifestyle?
- AKC Is a German Shepherd Dog the Right Breed for Your Lifestyle?
- AKC How to Train a German Shepherd Puppy: Timeline 8 Weeks to 2 Years
- AKC Official Standard of the German Shepherd Dog
- AKC Finding the Right Breed to Fit Your Lifestyle at AKC Meet the Breeds
- 環境省 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況
- 環境省 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(全国表・令和6年度実績)
- 環境省 動物の適正譲渡における飼い主教育
- AWGs 保護犬・猫の生涯飼育【第一回】日本の高齢者問題と殺処分
- Kisley MA et al. Investigating the Reasons behind Companion Animal Relinquishment: A Systematic Content Analysis of Shelter Records for Cats and Dogs, 2018-2023. Animals 2024;14(17):2606
免責事項
本記事は、犬を迎える前の判断材料として一般的な情報を提供するものです。特定の犬種の優劣を示したり、個々の犬の性格を断定したりするものではありません。運動量や性格には個体差があり、英国の運動量の目安も日本の環境にそのまま当てはまるとは限りません。問題行動や体調の変化が気になるときは、かかりつけの獣医師や専門のトレーナーにご相談ください。
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