犬の股関節形成不全とパテラ脱臼|小型犬に多い関節病の症状・予防・治療法

犬の病気

小型犬に多い関節の悩み:パテラと股関節形成不全

「うちの子、たまに後ろ足を上げてピョンピョン歩く……」そんな心配を抱える小型犬の飼い主さんは少なくありません。これはパテラ(膝蓋骨脱臼)の典型的なサインかもしれません。また、似た関節疾患として股関節形成不全も犬には見られます。どちらも放置すると歩行困難につながる可能性があるため、早めに正しい知識を身につけておくことが大切です。

この記事でわかること

  • パテラ(膝蓋骨脱臼)と股関節形成不全の違い
  • 症状チェックリストと獣医受診のタイミング
  • 原因・診断・治療法(保存療法と手術)
  • 自宅でできる予防と日常ケア

パテラ(膝蓋骨脱臼)とは

パテラとは、膝のお皿にあたる膝蓋骨(しつがいこつ)が正常な位置からずれてしまう病気です。正式には「膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)」と呼ばれ、犬の関節疾患のなかでも特によく見られます。トイプードル・ポメラニアン・チワワ・ヨークシャーテリアなど小型犬で発症が多く、先天的(生まれつき骨や靭帯の形成異常)または後天的(事故や転落による衝撃)どちらの原因でも起こります。膝蓋骨が内側にずれる「内方脱臼」が最も多く、片足だけでなく両足に発症することもあります。

パテラのグレード分類(1〜4)

グレード 状態 主な症状
1 手で押すと脱臼するが普段は正常 ほぼ症状なし。まれにキャンと鳴く
2 屈曲時に頻繁に脱臼するが自然に戻る 後ろ足を上げてスキップ・着地できない
3 常に脱臼状態。手で一時的に戻る 腰を落とした歩き・明らかな歩行異常
4 常に脱臼。手で戻せない 後ろ足を曲げたままうずくまる歩き

股関節形成不全とは

股関節形成不全は、大腿骨(太ももの骨)の骨頭と骨盤の受け皿部分の発達異常によって、関節のかみ合わせが悪くなる病気です。遺伝的な要因が強く、ラブラドール・ゴールデンレトリーバー・ジャーマンシェパードなど大型犬での発症がよく知られていますが、小型犬でも見られます。放置すると変形性関節症へ進行し、慢性的な痛みを引き起こします。成犬の80%程度は内科的管理で日常生活レベルの運動が維持できるとされていますが、早期発見が大切です。

股関節形成不全に見られる典型的な動き

  • 腰振り歩行(モンローウォーク):腰を左右に揺らしながら歩く、痛みを軽減しようとする歩き方
  • うさぎ跳び走行:走るとき両後ろ足を同時に蹴り出す、安定性が低い子犬に見られる
  • ボディビルダー体型:後肢の痛みで前肢に体重を移した結果、前半身だけ筋肉が発達する逆三角形の体型

こんな様子が見られたら要注意:症状チェックリスト

⚠ 以下の症状が見られる場合は早めに動物病院へ

  • 後ろ足をスキップするように上げながら歩く
  • 突然キャン!と鳴いて足を引きずる
  • 階段の上り下りを嫌がるようになった
  • 走るとき両後ろ足を同時に蹴り出す(うさぎ跳び)
  • 腰を左右に振りながら歩く(腰振り歩行)
  • 激しい運動後に足を引きずる
  • 抱っこすると痛がる、鳴く
  • 寝起きに後ろ足がふらつく

診断方法

パテラは触診(膝蓋骨を手で動かして外れ具合を確認)レントゲン検査で診断されます。股関節形成不全も同様に触診とレントゲンで評価します。気になる症状があれば自己判断せず、動物病院を受診してください。早期発見・早期治療がその後の経過に大きく影響します。

治療法

保存療法(手術なし)

グレード1〜2や症状が軽い場合、または手術が難しい場合は保存療法を選びます。具体的には鎮痛剤・抗炎症薬の投与、関節サプリメント(グルコサミン・コンドロイチンなど)の活用、運動制限、体重管理、床材の改善(滑り止めマット設置)などです。根本的な治療ではないため、定期的な経過観察が必要です。

外科手術

グレード3〜4、または痛みが頻繁で生活の質に影響がある場合は外科手術を検討します。代表的な術式には滑車造溝術(膝のくぼみを深くして外れにくくする)脛骨粗面転位術(骨の付着部を正しい位置に移動させる)があります。手術方法は犬種・年齢・症状によって異なります。成長期の子犬は骨格変形が進みやすいため、早めの手術を勧められることもあります。担当獣医師と十分に相談して決めましょう。

自宅でできる予防と日常ケア

  • 体重管理を徹底する:過体重は関節への負担を大きく増やします。肥満が疑われる場合はカロリー管理と適度な運動で改善しましょう。
  • 床の滑り止め対策:フローリングは犬の関節に悪影響を与えます。ラグ・コルクマット・滑り止めマットを敷いて転倒と関節負担を防ぎましょう。
  • 段差を減らす:ソファへの飛び乗り・飛び降りは関節への衝撃が大きいです。ペット用スロープやステップを活用しましょう。
  • 適切な運動量を守る:激しい運動は避けつつ、無理のない散歩を毎日続けましょう。関節周りの筋肉を適度に鍛えることが予防につながります。
  • 定期健診を受ける:症状がなくても年1〜2回の健康診断で関節の状態を確認しましょう。早期発見が重要です。

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犬用関節サポートサプリメント(グルコサミン・コンドロイチン配合)

関節軟骨の保護・再生を助けるグルコサミンとコンドロイチンを配合したサプリメントです。保存療法中の犬や、関節疾患を予防したいシニア犬にも用いられています。

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犬用滑り止めマット・コルクマット

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関節への圧力を分散させるメモリーフォーム素材のベッドです。寝ている間も関節の負担を最小限に抑えられます。術後の回復期や関節疾患を抱えるシニア犬に特に有効とされています。

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まとめ

  • パテラ(膝蓋骨脱臼)はスキップ歩行などが目安。特に小型犬で発症しやすい
  • 股関節形成不全は腰振り歩行・うさぎ跳び走行・ボディビルダー体型で気づくことが多い
  • グレード1〜2は保存療法、グレード3〜4は手術が検討される
  • 体重管理・床の滑り止め・段差対策が日常予防の基本
  • 気になる症状があれば必ず動物病院で診察を

参考文献

免責事項

本記事の情報は一般的な知識提供を目的としており、獣医師による診断・治療の代替となるものではありません。愛犬の健康に関する判断は、必ず獣医師にご相談ください。

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