「犬アレルギーがあるけど、犬と暮らしたい」——そう検索してこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。結論から先にお伝えすると、比較的飼いやすいとされる犬種はいます。ただし「まったくアレルギーが出ない犬」は存在しません。この記事では、その理由と現実的な対策を、研究データをもとにやさしく整理します。
結論
抜け毛が少なくアレルゲンが飛散しにくいとされる犬種はいます。トイプードルやビションフリーゼなどが代表例です。
ただし、被毛中のアレルゲン量には個体差が大きく、「低アレルゲン犬種」を裏付ける科学的コンセンサスはないと報告されています(Vredegoor et al. 2012 ほか)。品種選びは有効な一手ですが、それだけで発症を防げるわけではありません。
犬種選びに、フード・空気清浄機・お手入れといった環境対策を組み合わせるのが現実的です。気になる症状があるときは、迎える前でも医師・獣医師に相談しておくと安心です。
この記事でわかること
- 犬アレルギーの原因は「毛」ではなく Can f1 というタンパク質であること
- 「低アレルゲン犬種」に科学的根拠がないとされる理由
- 比較的飼いやすいとされる犬種ランキング10選と手入れ頻度
- フード・空気清浄機・お手入れの効果と、その「限界」
- 迎える前に知っておきたい備え(アレルギー検査・保険)
なぜ犬アレルギーは起きる?原因は「毛」ではなく Can f1
犬アレルギーの主な原因は、毛そのものではありません。Can f1(キャンエフワン)と呼ばれるタンパク質が主な引き金とされています。
Can f1 は犬の唾液腺や皮脂腺でつくられ、フケや唾液を通じて被毛や空気中に広がります。粒子が非常に小さいため、室内で長時間浮遊しやすいのが特徴です。つまり「抜け毛が少ない=アレルゲンが少ない」とは限りません。
ここが誤解されがちです。「毛が抜けない犬ならアレルギーが出ない」と思われがちですが、アレルゲンは毛の量ではなくフケ・唾液に含まれます。抜け毛が少ない犬でも、アレルゲンがゼロになるわけではありません。

低アレルゲン犬種を見分ける3つのポイント
「低アレルゲン」という言葉に絶対の基準はありません。それでも、アレルゲンが比較的飛散しにくいとされる犬種には、共通する傾向があります。
| 見分けるポイント | 理由 |
|---|---|
| 抜け毛が少ないシングルコート | 抜けた毛に付いたアレルゲンが室内に飛び散りにくいとされます |
| 毛が伸び続ける毛質(トリミング犬種) | 換毛が少なく、定期的なカットでケアしやすい傾向があります |
| 体が小さくよだれが少ない | 唾液由来のアレルゲンの総量が抑えられやすいと考えられます |
ただし、これらはあくまで傾向です。実際には、被毛に含まれる Can f1 濃度は犬種の違いよりも個体差の方が大きいと報告されています。「低アレルゲン」とされる犬種でも、対照の犬種より濃度が高い個体があったという研究もあります(Vredegoor et al. 2012)。品種は目安のひとつとして、迎える前に必ず実際にふれあって様子を確認してください。
アレルギーでも飼いやすい犬種ランキング10選【ハイポアレルジェニック】
ここからは、抜け毛が少ないなどの理由で「ハイポアレルジェニック(低アレルゲン)」と呼ばれることの多い犬種を、手入れ頻度とあわせて紹介します。人気の高いプードルを筆頭に、いずれも定期的なお手入れが前提となる犬種です。
| 順位 | 犬種 | タイプ | お手入れ頻度の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | トイプードル | 小型・巻き毛 | 毎日ブラッシング+月1トリミング |
| 2 | ビションフリーゼ | 小型・巻き毛 | 毎日ブラッシング+月1トリミング |
| 3 | マルチーズ | 小型・シングルコート | 毎日ブラッシング+定期カット |
| 4 | ヨークシャーテリア | 小型・シングルコート | 毎日ブラッシング+定期カット |
| 5 | ミニチュアシュナウザー | 小型・ワイヤーコート | 週数回ブラッシング+定期トリミング |
| 6 | シーズー | 小型・長毛 | 毎日ブラッシング+定期カット |
| 7 | ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ | 中型・巻き毛 | こまめなブラッシング+定期トリミング |
| 8 | オーストラリアン・ラブラドゥードル | 中型・巻き毛 | こまめなブラッシング+定期トリミング |
| 9 | アフガンハウンド | 大型・長毛 | 毎日入念なブラッシング+定期ケア |
| 10 | マルプー(マルチーズ×トイプードル) | 小型・巻き毛のミックス | 毎日ブラッシング+月1トリミング |

1〜4位:定番の小型トリミング犬種
トイプードル・ビションフリーゼ・マルチーズ・ヨークシャーテリアは、抜け毛が少ないとされる代表的な犬種です。毛が伸び続けるタイプが多く、換毛期の飛散が起きにくい傾向があります。そのぶん毛玉になりやすいため、毎日のブラッシングと定期的なトリミングが欠かせません。
2位のビションフリーゼのふわふわ被毛のケアは、特に手間がかかる部分です。詳しいお手入れのコツは ビションフリーゼの飼い方|ふわふわの被毛ケアとアレルギーフレンドリー で解説しています。
5〜7位:ワイヤー・水猟犬タイプ
ミニチュアシュナウザーは硬いワイヤーコートで抜け毛が少なめ、シーズーは長毛ながらこまめなケアで管理しやすい犬種です。ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは、抜け毛の少ない巻き毛で知られ、活動量が多いぶんお手入れと運動の両方が必要になります。
8〜10位:ミックス・個性派タイプ
オーストラリアン・ラブラドゥードルやマルプーは、抜け毛の少ない毛質を目指して交配されたミックス犬です。ただし、ミックス犬は親のどちらの毛質を受け継ぐかで個体差が大きく、必ずしも低アレルゲンになるとは限りません。アフガンハウンドは優雅な長毛が魅力ですが、毎日の入念なブラッシングが前提の上級者向けです。
犬種選びだけでは足りない|今日からできるアレルギー対策
低アレルゲンとされる犬種を選んでも、それだけでは十分ではありません。日々のお手入れと室内環境の両面から、アレルゲンを減らす工夫を重ねることが大切です。
シャンプー・ブラッシングは「頻度」がカギ
シャンプーやブラッシングには、被毛のアレルゲンを一時的に減らす効果が報告されています。ただし、その効果は長続きしません。ある研究では、週2回以上洗わないと低減効果が維持されなかったと報告されています(Hodson et al. 1999)。洗浄から数日で元の水準に戻るとする実験もあり、こまめな頻度を保つことが目安とされています。
シャンプーのしすぎは、犬の皮膚バリアに負担をかけることもあります。頻度や使うシャンプーに迷うときは、かかりつけの獣医師に相談しながら調整してください。
空気清浄機は「浮遊アレルゲン」に有効、ただし限界も
HEPAフィルター搭載の空気清浄機は、室内に浮遊する Can f1 の低減に有効とされ、比較的しっかりした研究の裏付けがあります(Green et al. 1999)。ドイツの住宅での検証では、ポータブルHEPA空気清浄機で Can f1 濃度の中央値が約9割低下したとする報告もあります(PMC9022093)。
効果には限界があります。空気清浄機が対応できるのは「空気中に浮いているアレルゲン」だけです。床・カーペット・寝具・ソファに沈着したアレルゲンには効きません。こまめな掃除や洗濯、寝室に犬を入れない工夫との併用が前提になります。
ここまでは「人のアレルギー」への対策です。犬自身に皮膚炎や食物アレルギーの症状が出た場合は別の話になります。見分け方は 犬のアレルギー症状と対策|食物アレルギーから皮膚炎まで完全ガイド をご覧ください。

アレルギー対策に役立つグッズ・フード
犬種選びと環境対策に加えて、日々のアイテム選びも味方になります。ここでは、導入しやすい順に整理して紹介します。
低アレルゲン設計のフードを選ぶ
まず見直しやすいのがフードです。犬自身の食物アレルギーが気になる場合は、原材料がシンプルなフードを選ぶ視点が役立ちます。一般的に、次のようなポイントが選び方の目安とされています。
- タンパク源が1種類(単一タンパク源)にしぼられている
- アレルゲンになりやすい食材(穀物など)を避けたグレインフリー設計
- 原材料の種類が少なく、添加物が控えめ
療法食に使われる「加水分解タンパク」は、体がアレルゲンとして認識しにくいよう加工されたものです。ただし本格的な療法食は、獣医師の診断・指導のもとで使うものとされています(日本獣医師会の資料より)。市販の低アレルゲン設計フードは、あくまで日常の選択肢として捉えてください。
フードの具体的な選び方・切り替え方は 犬の食物アレルギー対応フードの選び方|除去食とローテーション食事法 で詳しく解説しています。症状が続く場合は、自己判断で決めず獣医師に相談しましょう。
モグワン ドッグフード(グレインフリー)
チキンとサーモンを使ったグレインフリー設計のドッグフードです。穀物を避けたい方や、原材料をシンプルに保ちたい方に選ばれています。効果を保証するものではなく、体質による個体差があります。
こんな方におすすめ: はじめて低アレルゲン設計のフードを試してみたい方
参考価格: ¥3,520〜(定期便あり/価格は変動します)
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アランズナチュラルドッグフード(ラム)
ラム肉を主原料にした単一タンパク源系のフードです。タンパク源をしぼりたい方に向いています。合う・合わないには個体差があるため、少量から様子を見て切り替えるのがおすすめです。
こんな方におすすめ: 単一タンパク源のフードを探している方
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空気清浄機(HEPAフィルター搭載モデル)
前述のとおり、浮遊アレルゲン対策にはHEPAフィルター搭載モデルが目安になります。沈着分には効かないため、掃除との併用を前提に選んでください。
HEPAフィルター搭載 空気清浄機
浮遊する微細な粒子をキャッチするHEPAフィルター搭載モデルです。リビングや寝室など、犬と過ごす時間が長い部屋に置くと安心です。設置だけで沈着アレルゲンが消えるわけではない点に注意してください。
こんな方におすすめ: 室内の空気環境から対策したい方
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ブラッシング用品・アレルゲン対策スプレー
抜け毛やフケをまとめて取り除くには、スリッカーブラシが便利です。アレルゲンの飛散を抑える工夫のひとつとして、専用スプレーを使う方もいます。
スプレーの効果表示について。「Can f1 を分解・不活化する」とうたう製品もありますが、その裏付けは各社が特定の技術・試験条件で行った実験にもとづくものです。たとえば、ある空気清浄技術のメーカーは第三者機関での不活化実験を公表していますが、これはその製品固有のデータであり、スプレーやグッズ全般に当てはまるものではありません。効果は製品ごとに異なります。
スリッカーブラシ
抜け毛やフケ、毛玉のケアに使いやすい定番ブラシです。こまめなブラッシングを続けたい方の必需品です。
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参考価格: ¥1,200〜

よくある質問(FAQ)
Q. 本当にアレルギーが出ない犬種はいますか?
A. 現時点では、まったくアレルギーが出ない犬種は確認されていません。「低アレルゲン犬種」を裏付ける科学的コンセンサスはないと複数の研究で報告されています(Vredegoor 2012、Lockey 2012 ほか)。抜け毛が少ない犬種は飛散を抑えやすい傾向はありますが、発症を防げるわけではありません。
Q. アレルギー検査は受けられますか?費用は?
A. 人の犬アレルギーは、医療機関の血液検査などで調べられます。費用は医療機関や検査項目によって変わるため、受診前に確認するのが確実です。犬自身のアレルギー検査については 犬のアレルギー検査の種類と費用|血液検査と除去食試験 で解説しています。
Q. 子どもがいる家庭でも飼えますか?
A. お子さんにアレルギー体質がある場合は、迎える前に医師へ相談することをおすすめします。実際に候補の犬とふれあって反応を確かめる、体験の機会を持つと判断しやすくなります。個体差が大きいため、慎重に進めてください。
Q. 賃貸でも対策できますか?
A. 空気清浄機の設置、こまめな掃除・洗濯、犬を寝室に入れない工夫などは賃貸でも実践できます。まずは寝る空間のアレルゲンを減らすことから始めると効果を実感しやすいと言われています。
まとめ|迎える前の「備え」も大切に
低アレルゲンとされる犬種はいますが、品種だけで発症を完全に防ぐことはできません。犬種選び・フード・空気清浄機・お手入れを組み合わせ、無理なく続けられる対策を重ねていきましょう。
低アレルゲンとされる犬種を選んでも、体質による個体差でアレルギー反応や皮膚トラブルが出ることがあります。気になる症状が出たら、まずは動物病院・皮膚科の獣医師にご相談ください。
通院費の備えが心配な方は、迎える前にペット保険を比較しておくと安心です。詳しくは 【2026年最新】ペット保険おすすめランキング15選|徹底比較と選び方 をご覧ください。
免責事項・広告掲載について
※ 本記事は獣医療行為・医療診断を代替するものではありません。アレルギーは人・犬ともに体質による個体差が大きく、症状や適した対策は一人ひとり・一頭ずつ異なります。気になる症状があるときは、必ず医師・かかりつけの獣医師にご相談ください。
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本記事の情報は、執筆時点で信頼できると判断した研究・資料をもとに構成しています。ただし最新の研究・情報により内容は変わる可能性があります。(最終更新:2026年7月)
参考文献
- Vredegoor DW, et al. “Can f 1 levels in hair and homes of different dog breeds: lack of evidence to describe any dog breed as hypoallergenic.” J Allergy Clin Immunol. 2012(PubMed)
- Lockey RF. “The myth of hypoallergenic dogs (and cats).” J Allergy Clin Immunol.(JACI)
- “Hypoallergenic animals: A promise of hope for allergic patients?”(PMC レビュー論文)
- Hodson T, et al. 犬の洗浄によるアレルゲン低減と維持頻度に関する研究. J Allergy Clin Immunol. 1999(PubMed)
- Green R, et al. “The effect of air filtration on airborne dog allergen.” J Allergy Clin Immunol. 1999(PubMed)
- ポータブルHEPA空気清浄機によるアレルゲン低減効果の検証研究(PMC9022093)
- 公益社団法人 日本獣医師会「療法食の適正使用に向けた課題と対応」(PDF)
- 日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)「食物アレルギー/犬の病気」
- 一般社団法人 日本獣医皮膚科学会(JSVD)

