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「ペット可マンションと聞いたけれど、うちの犬は本当に大丈夫?」と不安になる方は多いようです。規約には「小型犬1匹まで」のような短い一文しかなく、どこまでが範囲なのか迷いますよね。この記事では、規約と細則の読み方から届け出、トラブル予防までを順番に整理します。
結論
結論から言うと、マンションで犬と暮らせるかは「管理規約」と「ペット飼育細則」の原文で決まります。「小型犬」の範囲も細則しだいです。国土交通省の標準管理規約のコメントにも統一の定義や数値は示されておらず、体重や体高の数値は細則ごとに違います。
頭数の数え方や共用部のルールも同じです。迷ったら自己判断せず、管理会社や理事会に書面で確認してから迎える・届け出るのが安心です。
この記事でわかること
- 管理規約とペット飼育細則の役割の違い
- 「小型犬」「1匹まで」を細則でどう確認するか
- 共用部・バルコニーでよくあるルール
- 管理組合への届け出・登録の一般的な流れ
- 規約を変えたいときの考え方と近隣トラブルの初動
マンションの犬の飼育規約は「管理規約」と「細則」の2段構え
マンションの犬に関するルールは、多くの場合「管理規約」と「使用細則(ペット飼育細則)」の2段構えになっています。国土交通省の「マンション標準管理規約」のコメントでは、ペットを認めるかどうかは規約で定めるべき事項とされています。
一方で、手続きなどの細かい部分は使用細則に委ねることもできるとされています。つまり、規約に「ペット可」とあっても、具体的な条件は細則を読まないとわからない、ということです。
同じコメントでは、飼育を認める場合に定める必要がある事項として、次のような項目が挙げられています。
- 飼える動物の種類・数の限定
- 管理組合への届出または登録
- 専有部分での飼い方、共用部分の利用方法、ふん尿の処理など
- 他の住民に被害を与えた場合の責任
- ルールに違反した人への措置
また、容認型の規約例として「苦情があり改善勧告に従わない場合、理事会は飼育禁止を含む措置をとることができる」という趣旨の文言も示されています。「ペット可」は無条件ではなく、ルールを守ることが前提だと知っておくと安心です。
なお、規約例では区分所有者だけでなく「占有者」、つまり賃貸で住む人もルールを守る対象とされています。賃貸マンションの場合は、賃貸借契約の内容と建物の規約の両方が関わります。賃貸ならではの注意点はペット可賃貸物件の探し方と審査に通るコツもあわせてご覧ください。
「小型犬」の定義はマンションごとに違う
いちばん誤解が多いのが「小型犬」の範囲です。国土交通省の標準管理規約のコメントには、小型犬の定義や体重・頭数の具体的な数値はありません。数値は、それぞれのマンションの細則で決めるものです。
マンションみらい価値研究所のコラムでは、ジャパンケネルクラブ(JKC)も「小型犬」「大型犬」という分類自体を定義していないと紹介されています(2026年2月時点)。「〇〇は小型犬だから大丈夫」という一般的なイメージは、そのまま当てはまらないことがあります。
体重・体長・体高で決める細則が多い
実際の細則では、体重で上限を決める例がよく見られます。不動産会社系のコラムでは、新築分譲マンションの飼育細則で「体長40〜50cm以内、体重10kg以内(成獣時)、原則2匹以内」とされるケースが多いと紹介されています。体重と体高を併記する細則もあります。
犬種名で判定するのか、数値で判定するのかもマンションによって違います。購入や入居を決める前に、細則の原文と判定方法を管理会社へ確認してみてください。

子犬のときではなく成犬時のサイズで考える
見落としやすいのが、成長後のサイズです。細則の例には「成獣時」と書かれているものがあり、子犬のときに小さくても、成犬になって基準を超えるケースが考えられます。
地域の不動産会社のブログでも、将来の成長を見越して検討するよう呼びかけられています。成長の度合いには個体差があります。迎える前に、成犬時の大きさの目安をブリーダーや譲渡元に確認しておくと安心です。
「1匹まで」「2匹まで」頭数ルールの読み方
頭数は「1住戸につき1匹まで」や「2匹まで」とする例が多いようです。ただし、数え方は細則によって違います。ここを読み飛ばすと、悪気がなくても規約違反になってしまうことがあります。
確認しておきたいポイントは、次のとおりです。
- 犬だけの頭数か、犬と猫の合計か
- 知人の犬の一時的な預かりも数に含むか
- 2匹目を迎えるときに改めて届け出が必要か
規約の頭数を超えていたり、預かりの犬が問題になったりするケースもあると言われています。2匹目を考えている方は、迎える前に細則と管理会社の見解を確かめておきましょう。多頭飼いの進め方は2頭目の犬を迎えるベストタイミングと段階的な導入手順で詳しく紹介しています。
共用部・バルコニーでよくあるルール
ペット可マンションの細則では、廊下やエレベーターなどの共用部での過ごし方が細かく決められていることがよくあります。管理会社系のコラムで紹介されている例は、次のようなものです。
- 共用部では犬を抱きかかえるか、ケージ・キャリーに入れる
- エレベーターでは抱っこする
- 共用部での排せつは禁止
- バルコニーでのブラッシングや排せつは禁止
- リードでの歩行は禁止、または決められた場所のみ可

東京都の「集合住宅における動物飼養モデル規程」でも、自室か指定の場所で飼うこと、それ以外で餌やりや排せつをさせないことが示されています。異常な鳴き声や悪臭で迷惑をかけないこと、しつけに努めることも挙げられています。
犬が苦手な方やアレルギーのある方も同じ建物で暮らしています。共用部のルールは「犬を守るルール」でもあると考えると、続けやすくなります。
管理組合へのペットの届け出・登録の流れ
犬を迎えるときは、管理組合への届け出や登録が必要になるのが一般的です。東京都のモデル規程をもとにすると、流れはおおむね次のとおりです。実際の手順は、お住まいのマンションの細則を確認してください。
| タイミング | 主な内容 |
|---|---|
| 迎える前 | 申請書・届出書を出し、許可を受けて誓約書を提出する |
| 許可後すみやかに | 狂犬病予防法にもとづく登録と予防注射の証明を提示する |
| 暮らし始めたら | 管理組合などが発行する標識を、玄関など見やすい場所に掲示する |
| 飼わなくなったとき | その旨を届け出る |
飼育の承認は理事会が行う例が多く、規約で総会としている場合もあります。飼育委員会を置くマンションでは、委員会は理事会の相談役という位置づけが一般的です。
狂犬病の登録と予防接種は、マンションのルール以前に法律で求められている手続きです。接種の時期や体調面で気になることがあれば、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

ペット不可から可へ、規約を変えたいときの考え方
今のマンションがペット不可でも、規約を変えれば犬と暮らせるようになる可能性はあります。ただし、ペットの可否を変えることは「規約の変更」にあたり、一般に総会での特別決議が必要と解説されています。
従来の区分所有法では、区分所有者数と議決権の各4分の3以上の賛成が必要とされてきました。2026年4月1日施行の改正区分所有法では、定足数(区分所有者と議決権の各過半数の出席)を満たした総会で、出席者の各4分の3以上とする仕組みになったと解説されています。ここでいう出席者には、議決権行使書や委任状で議決権を行使した人も含むと案内されています。
国土交通省の資料でも、施行日より前に招集手続きが始まった総会には従前の例(旧ルール)が適用されると案内されています。どちらが適用されるかや細則のみの変更で済むかは、規約の内容や個別の事情で変わります。マンション管理士や弁護士などの専門家に確認しながら進めてください。
ペットを禁止する方向の規約変更と「一代限り」
ペットを禁止する方向の規約改正が争われた裁判例もあります。東京高裁平成6年8月4日判決は、飼育を一律に禁止する規約の新設を有効とし、すでに飼っていた住民の承諾も不要とした事案として紹介されています。ただし、既に飼っている人の承諾が必要かどうかは、事案ごとに判断が分かれるとされています。もともとペット禁止の案内があったマンションの事案という指摘もあり、どのマンションにも同じ結論が当てはまるとは言えません。
今いる犬に限って飼育を認める「一代限り」というルールもあります。マンションみらい価値研究所のレポートでは、一代限りの対応を続けている管理組合がある一方、規定が守られず運用を見直すことになった事例も紹介されています。規約の見直しを考えるときは、運用まで含めて話し合うことが大切です。
マンションでの犬の近隣トラブルを防ぐには
国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、過去1年間に起きたトラブルの具体的な内容として「ペット飼育」が14.2%でした。マンションみらい価値研究所のコラムでは、平成15年度は46.6%だったと紹介されています。割合は下がっていますが、トラブルがなくなったわけではありません。
よくある類型は、鳴き声、においや抜け毛、共用部での排せつ、規約を超える頭数などです。日頃から次のような点を意識しておくと安心です。
- 共用部では抱っこ・キャリーなど細則どおりに移動する
- 散歩前に自宅で排せつを済ませる習慣をつくる
- バルコニーでのブラッシングは控え、室内でケアする
- 鳴き声が気になるときは、しつけや住環境を見直す
鳴き声が心配な方は、吠えにくい犬種の選び方とマンションでの鳴き声対策も参考にしてみてください。
苦情を受けたとき・違反を見つけたときの初動
近隣から苦情を受けたら、まずは日時や内容などの事実を確認しましょう。そのうえで管理会社や理事会に相談し、しつけや環境の対策をとります。対応した内容は記録に残しておくと、後で説明しやすくなります。
規約違反を見つけた側も、日時や状況を記録し、窓口である理事会や管理会社に伝えるのが一般的です。当事者同士で直接やり合うと、こじれやすいと言われています。
管理組合側の対応は、注意・指導から勧告へと段階的に進むのが一般的です。改善されない場合は、区分所有法にもとづく差止め請求などの法的措置が検討されることもあります。法的な対応が視野に入ったら、弁護士など専門家への相談をおすすめします。騒音トラブル全般は犬の騒音トラブルと近隣問題の解決法で整理しています。

購入・入居前に確認したい規約チェックリスト
マンションみらい価値研究所の2022年のレポートでは、調査した3,939の管理組合のうち、ペット可が51.8%、不可が47.9%でした。規約や細則に可否の定めがあるのは88%とされています。だからこそ、契約前に原文を確かめることが大切です。
| 確認項目 | チェックのポイント |
|---|---|
| ペット可否 | 管理規約の条文と、細則の有無 |
| 大きさの基準 | 体重・体長・体高のどれで判定するか、成犬時か |
| 頭数 | 犬のみか犬猫合計か、預かりを含むか |
| 共用部 | 抱っこ・キャリーの要否、歩行可能な場所 |
| 届け出 | 申請書・誓約書・標識、承認するのは理事会か総会か |
| 一代限り | 今後の飼育が制限される条件がないか |
ペット飼育を前提に設計された物件を検討している方は、ペット共生型マンションの実態も参考になります。また、ペット不可の物件で内緒で暮らすことのリスクはペット不可賃貸で犬を飼うとどうなる?で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 「小型犬1匹まで」の小型犬は何kgまでですか?
A. 国土交通省の標準管理規約のコメントにも統一の定義や数値は示されておらず、マンションごとの細則で決まります。体重10kg以内とする例が見られますが、体長や体高を併記する細則もあります。細則の原文を確認し、判定方法を管理会社に聞いてみてください。
Q. 子犬のうちは小さければ問題ありませんか?
A. 細則によっては「成獣時」のサイズで判断すると書かれています。成長の度合いには個体差があるため、成犬時の大きさの目安を確認してから迎えるのがおすすめです。
Q. 賃貸マンションでも管理組合のルールに従う必要がありますか?
A. 国土交通省の規約例では、区分所有者だけでなく占有者もルールを守る対象とされています。賃貸の場合は、賃貸借契約の内容とあわせて貸主や管理会社に確認しましょう。
Q. 届け出をしないで飼うとどうなりますか?
A. 細則で届け出を求めている場合、無届での飼育は細則違反となります。国土交通省の標準管理規約の規約例では、苦情があり改善勧告に従わない場合、理事会が飼育禁止を含む措置をとれるとされています。具体的な扱いはマンションごとに違うため、迎える前に管理会社や理事会へ届け出の要否を確認しましょう。
マンション暮らしで役立つアイテム
共用部の移動や足音対策に使えるアイテムをまとめました。サイズや仕様は、細則や住まいに合わせて商品ページで確認してみてください。
ペット用キャリーバッグ
共用部ではキャリーに入れる、と定めている細則があります。エレベーターや廊下での移動に使いやすいタイプを選んでおくと、毎日の散歩の出入りがスムーズです。
どんな人向け:共用部でのキャリー移動が求められるマンションにお住まいの方
参考価格:サイズ・素材により異なります(各ショップでご確認ください)
ペット用防音マット(ジョイントマット)
フローリングに敷いて、犬が走り回るときの足音をやわらげる目的で使うマットです。軽減の程度は建物の構造や商品によって異なります。部分的に敷けるジョイントタイプは、汚れた部分だけ外して洗えるものもあります。
どんな人向け:下の階への足音が気になる方
参考価格:枚数・厚みにより異なります(各ショップでご確認ください)
万一、犬が他の住民にけがをさせたり物を壊したりした場合に備えて、個人賠償責任の補償がついたペット保険や火災保険の特約を確認しておく方もいます。補償内容は商品ごとに違うため、契約中の保険も含めて比べてみてください。
免責事項
本記事は、マンションの犬の飼育規約について、公的機関の資料や専門家・管理会社の公開情報をもとに一般的な情報をまとめたものです。管理規約や細則の内容、法律の適用は、マンションごとの規約や個別の事情によって異なります。
規約の解釈、規約変更の決議、トラブルへの法的対応など、具体的な判断が必要な場合は、管理会社・管理組合(理事会)、マンション管理士、弁護士などの専門家にご相談ください。記載内容は執筆時点(2026年10月)の情報で、その後の法改正などで変わる可能性があります。犬の健康や予防接種について気になることがあれば、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
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参考文献
- 国土交通省「令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)」及び同コメント
- 国土交通省「マンション標準管理規約」
- 国土交通省「令和7年改正マンション標準管理規約を踏まえた管理規約の改正を行う場合の手続の留意点について」
- 国土交通省「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)」
- 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」概要編
- 厚生労働省「狂犬病」
- 東京都保健医療局「モデル規程解説(集合住宅における動物飼養モデル規程)」
- マンションみらい価値研究所「癒しの同居人~ペットと暮らすマンション~」
- マンションみらい価値研究所「ペット問題は解決したのか」
- 不動産流通推進センター「マンション管理組合のペット飼育を禁止する規約変更の有効性。」
- 鳥飼総合法律事務所「マンション法務-規約の変更(動物飼育の禁止)-」
- 新ぎんざ総合法律事務所「入居後におけるマンション規約の変更・ペット飼育禁止」
- 三菱地所の住まいリレー「2026年の区分所有法改正とは?変わることや区分所有者へのメリット・デメリットを解説」
- マンション管理の教科書「管理規約改正時の「特別の影響」|事前承諾の要件・判例の考え方・実務上の対応」
- 株式会社MIJ「マンションのペット飼育ルール完全ガイド|法的根拠からトラブル防止策3選」
- Geo Plat「分譲マンションでペットと暮らす(後編)~犬を飼う時の注意点や知っておきたいマナーとは?~」
- 「ペット飼育できる購入物件の制限は?管理規約や注意点も紹介」(aflo-osaka.jp)
- 虎ノ門桜法律事務所「マンションの管理・トラブル」
- 「マンショントラブル(音・駐車・ペット)への管理組合対処事例」(yokosoh.co.jp)

